May, 15, 2017, Freiburg--フラウンホーファー材料力学研究所IWMが開発した新技術により、レーザビームの助けを借りて板ガラスを複雑な、特殊な形状に曲げることができる。この技術は、建築家や設計者にとって全く新しい製品に道を開くものである。ガラスには特殊な属性、粘性があり、したがって高温にさらされたときの展性という特性を研究チームは利用しようとしている。
レーザビームは、予めプログラムされた見えないパスにしたがって、絶対的な精度でガラス表面全域を動く。時々ビームは止まり、位置を変え、さらに動く。4㎜厚の板ガラスは、ガラスが溶け始める温度よりも低く予熱した窯の中にある。ガラスは、レーザが熱したポイントで、重力により軟化が始まり、加熱された部分が、濃い蜜でできているかのように垂れ下がる。所望の形状が達成されるとレーザを止め、ガラスは再び固化する。結果は、小さな半径、波、円い突起を特徴とするカーブの魅力的な形状である。
これはフラウンホーファーIWMが開発したプロセスでガラス板を曲げるためにレーザがいかに有用であるかを示している。プロセス全体は、材料の特殊な物理特性に基づいている。金属と違い、ガラスは液化する明確な融点を持たない。その代り、一定の温度範囲でガラスは軟化し、展性を示す。
フラウンホーファーIWMのレーザサポート技術により、建築家や工業デザイナは、以前なら作るのが難しくコスト高になる形状を利用することができるようになる。ここでは、圧力をかける曲げ型不要で板ガラスの形状を変えられる。このようにして新しい工程は目障りな跡を残さない、つまりフラットガラスの表面は外見上、歪みがない。
製品を所望の形状にするには、プロセスワークフローのプログラミングから始める。幾何学データを使って、正確にどこで、何時、どの程度の長さで材料を加熱するかのシーケンスを定め、レーザビームを制御するプログラムを作成する。これは、レーザをしばらく止める、何度も一カ所を加熱する、あるいはビーム強度を変えるオプションを考慮に入れている。
ガラスを窯に入れることから、それを冷却するまで、全プロセスは約半時間かかる。必要とされる形状により、レーザの作業はわずか数分となる。「メーカーにとっての明らかな利点は、装置の占有時間が短いことである。加工対象を予熱した窯に入れ、わずか数分でレーザを照射する」とIWMの研究者、Tobias Rist氏は説明している。ガラスは冷却のために取り出すので、窯は次の加工対象のために空き、したがって窯を冷却する必要がない。これは、従来の工程に比べると大幅な省エネとなる、レーザは非常に多くのエネルギーを必要とするが、非常に短い加工時間は電力の節約となる。
フラウンホーファーIWMの加工プロセス、Glass Forming Groupは強力なCO2レーザモデルを使用する。レーザのタイプは、業界で材料加工に一般的に使用されているものである。レーザビームは加工対象に直接に照射されるのではなく、窯内部に組み込んだ調整可能なミラーを介して方向を操作される。このため非常に高速で簡便なレーザビームの位置決めができる、これはレーザ装置そのものが静止状態にとどまるためである。研究グループは現在、最大100㎝までのエッジの板ガラスを加工することができ、ガラスの両サイドの形状を変えることができる。研究チームの次のステップは、様々なタイプのガラスで実験し、製品の可能な形状範囲を広げることを念頭に、製造の多様性を探究することである。