February, 22, 2017, Daejeon--ホログラフィックディフューザあるいは曇りガラスを波面変調器に加えることでKAISTの研究チームは、3Dダイナミックホログラフィックディスプレイを2600倍性能強化する簡素で実用的なソリューションを提供することができるようになった。
3Dデジタルホログラムの潜在アプリケーションは膨大である。芸術や娯楽だけでなく、生体医用イメージング、科学的可視化、工学設計、ディスプレイを含む様々な分野がこの技術の恩恵を受ける。例えば、医者が3D分析するために実物大の臓器は有用であるが、ホログラム生成技術の限界のために、まだ課題が残っている。
KAIST(韓国科学技術院)の物理学部、YongKeun Park教授の研究チームはソリューションを提案し、既存の3Dホログラフィック技術よりも2600倍優れた性能の3Dホログラフィックを開発した。この研究は、現在のホログラフィックディスプレイの主要な問題である、3D画像のサイズと視野角の限界を改善すると期待されている。研究成果は、Nature Photonicsに発表された。
映画の3Dホログラムはコンピュータグラフィック効果で作成している。真の3Dホログラムを作成する方法は、まだ実験室で研究中である。リアルな3D画像を作ることは難しいので、最近のVRやARデバイスは2つの異なる2D画像を観察者に投影して視覚的幻影を引き出している。
3Dメガネなど特別な装置なしで見ることができる3Dホログラムを作成するには、光の波面を、空間光変調器(SLMs)やデフォーマブルミラー(DMs)など、波面変調器を使って制御しなければならない。
これらの変調器を3Dディスプレイとして使用する最大の制限は、ピクセル数である。先頃開発された高解像度ディスプレイに詰め込んだ多数のピクセルは2D画像に適しており、それらのピクセルに含まれる情報量は3D画像を生成することができない。そのため、既存の波面変調器技術で作成できる3D画像は、1㎝サイズ、狭い視野角3°であり、これは実用には程遠い。
代替としてKAISTの研究チームは、DMと2つの連続ホログラフィックディフューザを使い光を散乱させた。光を多方向に散乱させることで、視野角が広がり、画像も大きくなるが、多くの散乱光が原因となる立体スペクル場が生ずる。ランダムスペクル場は3D画像表示には使えない。
問題解決のために研究チームは、場を制御する波面成形技術を用いた。その結果、長さ、幅、高さ2㎝の立体で視野角35°の強化版3Dホログラフィック画像の生成に成功した。これは、ディフューザなしにDMを用いて生成した元の画像品位と比較して約2600倍強力な性能を生み出した。
「散乱光は、これまで対象認識と干渉すると考えられていたが、適切に散乱光をコントロールすることで視野角と画像サイズを大きくし、現在の3Dディスプレイを大幅に改善できることを実証した」とPark教授はコメントしている。