February, 22, 2017, Kiel--自然界の接着メカニズム、ヤモリなどが天井をさかさまに歩く時に使うメカニズムは多くの利点がある。接着剤や残留物なしに常に強力に接着している。キール大学(Kiel University)の研究チームは、このようなメカニズムを人工的に実現する方法を研究している。材料科学、化学、生物学からの学際的研究チームは、UV光を使って遠隔コントロールできる、生体模倣の接着材料の開発に成功した。
自然では、筋肉運動などの機械的刺激によって、確実に動物の足が表面に接着し、再び離れる。キールの研究チームは、代わりに光を使って人工的な接着メカニズムを制御する。これは、自然のモデルからヒントを得て構築したものである。「光の利点は、極めて正確に利用できる点にある。可逆的であるので、再度ON/OFFでき、また極めて迅速である」と研究グループのEmre Kizilkan氏は説明している。
研究チームは初めて、伸縮性の多孔質材料(LCE:リクイドクリスタル・エラストマ)を開発した。これは、その特殊分子構造のために、UV光を照射すると曲がる。材料が多孔質であればあるほど、ますます多く曲がることが分かった。研究チームによると、構造的に、多孔質材料は他の材料に非常に簡単に組み込むことができる。
結果は、光で制御できるインテリジェントな接着性の複合材料である。表面は、マッシュルーム型の接着性マイクロ構造でできている。カブトムシなどの足に見つかる構造と同じである。その複合材料にUV光を照射すると、それは曲がる。表面がどんどん曲がるので、接着性の要素は対象から離れ、ついには再び離れ落ちる。
「新しい材料はモノを運ぶために使用できることを示すことができた。さらに、その移送は光で精密制御できることを実証した。マイクロレベルで制御可能である。われわれは光を、いわば遠隔制御として使用する。生物模倣の接着剤利用は対象物に残留物を残すこともない。究極的には、われわれは、その新材料をマイクロロボット開発に使いたい。このようなロボットは、光制御で前進し、壁を上ることもできる」とGorb教授はコメントしている。