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テラヘルツパルス生成で新記録達成

February, 20, 2017, Wien--ウィーン工科大学(TU Wien)とチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)の研究グループは、超短THz光パルスの生成に成功した。わずか数ps幅のこれらのパルスは、分光アプリケーションに最適であり、極めて正確な周波数計測ができる。
 THz波を発生させる量子カスケードレーザ(QCL)は、特定のアプリケーションに適合するように周波数を調整できる。複数の異なる周波数のQCLをスタックしてブロードバンドTHz光源の実現が可能である。
 フォトニクス研究所のDominic Bachmann氏は、「この種のヘテロジニアスアクティブゾーンは広帯域THzアンプ実装、超短THzパルス生成に理想的である」と説明している。さらに、そのディスクリートのレーザラインがリンクしてレーザモード間に固定位相関係が確立できると、「周波数コム」が作れる。周波数コムにより、使用する光の絶対周波数の極めて正確な計測ができる。これは膨大な数のアプリケーションにとって重要である。
 過去4年、EUプロジェクトTERACOMBの一環として、国際研究グループは、QCLを使ってTHz周波数コムの生成にとLyncンできた。Dr Juraj Darmoをリーダーとする研究チームは半導体技術をベースにした初のブロードバンドTHz周波数コムの開発に成功した。
 研究グループが開発した1つの方法は、動作中の内部QCLパラメータの解析を可能にするものである。この技術は時間分解分光学に基づいており、サンプルに浸透するブロードバンドTHzパルスを計測することができる。フェムト秒レーザをベースにしたこの技術を用い、わずか一回の計測で時間と周波数範囲に関する完全な情報量を収集することができる。その結果、フォトニクス研究所の研究グループは、ブロードバンドTHz QCLの光分散だけでなく光利得係数も定量化することができ、動作中の複雑な動力学の理解を向上させることができた。
 THz QCLで未解決の問題は、伝搬速度が異なるレーザラインの存在だった。高次横モードのレーザがあると、強度はレーザライン間に極めて不均一に分布する。よって使える帯域が減り、周波数コム発生の妨げになる。このモードの振動を止めるには、ある程度、レーザしきい値に達しない程度に損失を増やさなければならない。調整した横アブソーバをレーザ共振器のエッジに追加することで、研究グループは、高次横モードを完全に抑圧することができた。基本モードには関連する影響は全く出さなかった。その結果、フルオクターブをカバーする発光帯域幅となり、700GHz中心に極めて均一なモード分布となり、440GHzの帯域の周波数コムが得られた。さらに、横アブソーバによりパルス幅3ps以下の超短THzパルスの新たな世界記録を達成した。
(詳細は、www.tuwien.ac.at)