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細胞内のナノマシーンを初めて3D観察

February, 7, 2017, Barcelona--IRBバルセロナをリーダーとする研究グループは、遺伝子工学、超解像度顕微鏡、バイオコンピュテーションを組み合わせて、生きた細胞内のタンパク質機構を3D観察できるようにした。
 Cell誌に発表された研究成果によると、動物や植物にとって重要なタンパク質集合の重要な機能的特性が明らかになった。この新しい組み合わせを手にすることで、健康および病気状態で細胞タンパク質機構を研究することができるようになる。
 生体医学研究所(IRB バルセロナ)の研究者は、タンパク質のナノマシン(タンパク質複合体-細胞機能を実行する構造)を生きた細胞で初めて3D観察することができたとして、研究成果をCellに発表した。
 現在、タンパク質ナノマシーンの機能を研究する生物学者はタンパク質複合体を細胞から分離して試験管の中に隔絶する。次に、試験管内で、その構造を原子レベルで観察できる技術を適用する。もう1つの方法では、生きた細胞内でこれら複合体の分析を行う技術を使うが、構造的情報はほとんど得られない。新しい研究では、研究グループは、生きた細胞内でタンパク質機構の構造をその機能を実行している状態で直接観察できるようにした。
「利用できるin vitro技術は素晴らしいものであり原子レベルで観察できるが、得られる情報は限られている。われわれが開発した技術は正しい方向へ一歩前進したものであり、今ではタンパク質複合体がどのように機能を実行しているかを3D観察できる」とIRBバルセロナ研究者、研究グループのまとめ役、Oriol Gallegoはコメントしている。
 新しい方法は、超高解像度顕微鏡、細胞エンジニアリング、コンピュータモデリングを統合している。その技術により、5 nmの精度でタンパク質複合体を観察することでできる。「これは超解像度で得られるよりも4倍優れており、これによりわれわれはこれまで不可能だった細胞生物学研究ができるようになる」(Gallego)。
 研究グループは、タンパク質複合体を固定できるように内部の人工支持を作る目的で、遺伝的に細胞を組み替えた。これらの支持は、固定したナノマシナリが見える角度を調整できるように設計されている。タンパク質複合体の3D構造を測定するために超解像度技術を使って、様々な構成要素間の距離を計測し、次にGPSで使用されるのと同じプロセスで統合する。
 Gallegoはこの方法を使ってエクソサイトーシス(開口分泌)、細胞が細胞外とコンタクトするために使用するメカニズムを研究した。例えば、ニューロンはエクソサイトーシスを介して神経伝達物質を放出することで他と相互交信する。この研究により、エクソサイトーシスにおける重要ナノマシーンの構造全体、今まで謎だった全貌が明らかになった。
「今では、8個のタンパク質で形成されるこの機構の働き、個々のタンパク質が何にとって重要であるかが分かっている。この知識は、ガンや転移(このナノマシナリが変更されるプロセス)でエクソサイトーシスの関与の理解向上に役立つ」と同氏は説明している。
 ナノマシンがその細胞機能をどのように実行するかを理解することは、生体医学的な意味がある、内部の働きにおける変化は病気の発展につながるからである。この新しい戦略を手に入れることで、健康状態、病気の状態における細胞タンパク質機構を研究することができるようになる。例えば、ウイルスやバクテリアが感染中にどのようにナノマシンを利用するかがわかり、病気につながる複合体タンパク質の理解が向上し、それを覆すための新たな治療法を設計できるようになる。
 その技術は、相対的に大きな複合体で利用可能である。「5 nmサイズのタンパク質複合体を見ることができることは大きな成果であるが、細胞内部を原子レベルで観察できるまでには道のりは遠い」とGallegoは話している。