February, 3, 2017, 福岡--九州大学などの研究グループは、住化分析センターとの産官学連携の共同研究において、有機EL素子を短時間で製作することにより、素子の耐久性が著しく向上することを見出した。
この原因は、真空蒸着チャンバー内に存在している1分子層にも満たないほどの極微量と推定される不純物が有機半導体材料の蒸着中に混入するためであり、それにより素子劣化が引き起こされることを明らかにした。研究では、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)による精密質量から不純物の構造を解析した結果、一般的に樹脂の添加剤として使用される化合物、過去に蒸着した有機材料やその分解物と思われる化合物等が推定された。これらはチャンバー内の構成部品や残留物に由来すると推測される。従来の製造プロセスでは外的劣化要因として主に真空中の水分量を管理してきたが、この成果により水分量のみならず極微量不純物量や素子製作時間を管理することで、これまで困難であった有機EL素子寿命の再現性の確立に繋がり、今後、様々な有機エレクトロニクス素子の長寿命化や劣化メカニズムの解明に貢献するものと期待される。
研究成果は、Scientific Reportsに掲載された。
(詳細は、www.kyushu-u.ac.jp)