February, 1, 2017, Rochester--ユタ大学(University of Utah)電気/コンピュータ工学、Carlos Mastrangelo教授とNazmul Hasan博士課程学生の研究チームは、液体ベースのレンズで「スマートグラス」を作製した。これは、人が見ているものが遠くでも近くでも、自動的に焦点を調整する。適応型レンズの研究成果は、Optics Expressに発表された。
人の目は内部にレンズがあり、何を見るかによって焦点深度を調整する。しかし、老化にともないレンズは焦点を変える能力を失う。このため、多くの人が最終的には老眼鏡あるいは遠近両用メガネを必要とするようになる。
研究グループは、高濃度の液体、グリセリンを柔軟なゴム状の膜に入れたメガネレンズを作製した。レンズの後側の膜が3つの機械的アクチュエータに接続されており、これによって膜は透明なピストンのように前後に押され、液体レンズの湾曲、つまりレンズと目の間の焦点距離が変わる。
「メガネの焦点距離はレンズ形状に依存するので、屈折力を変えるには膜の形状を変えなければならない」とCarlos Mastrangelo教授は説明している。
レンズは、エレクトロニクスやアクチュエータとともに研究グループが作製した特殊メガネフレームに設置されている。メガネのブリッジには、距離計があり、ガラスから対象までの距離を赤外光パルスで計測する。メガネ装着者が対象を見ると、ただちに距離計が距離を計測してアクチュエータにどの程度レンズを曲げるかを伝える。ユーザが視点を近くに移すと、距離計は再調整してアクチュエータにレンズの形状を変えるように伝える。Hasanによると、レンズはある対象から別の対象に焦点を変えるのに14µsかかる。フレームの再充電可能なバッテリーは、1回の充電で24時間以上使用可能。
最初にメガネをかける前に、全てのユーザは、それぞれのメガネ処方箋を付属のスマートフォンアプリにインプットしなければならない。こうすることで、Bluetoothを介して自動的にレンズのキャリブレーションが行われる。経年により処方箋が変わった時を除いては、ユーザは一度だけキャリブレーションを行えばよい。このメガネは絶えず視力を調整するので、ユーザは別のメガネを購入する必要はない。
研究グループによると、現状のメガネはCES 2017に展示した大きなプロトタイプであるが、今後さらに小型、軽量化を目指して絶えずデザインを改良する。軽量化された、より魅力的なメガネが市場に出るのは3年先になる予定。このメガネの商用化のために、スタートアップカンパニー、Sharpeyes LLCが設立されている。