January, 27, 2017, Los Angels--NTTの研究チームは、光ファイバ内に伝送パスを増やす研究に注力してきた。研究チームは、マルチコアファイバ(MCF)技術の研究を進め、単一の光ファイバ内にマルチ・シングルモードコアを作製した。光ファイバ内にコア数を増やすことは、簡単ではない。コアを増やすと、光ファイバ径が大きくなり、アプリケーションを制約することになるからである。
NTTアクセスネットワークサービスシステム研究所の研究チームは、初めて12コアパスを持つMCFデザインを開発した。コアは、標準サイズの125µm径ファイバで伝送データ量を増やせるように、「ランダム結合」されている。NTTチームは、この成果をOFC2017で発表する。
「標準125µmクラッドの光ファイバの12コアパスは、光ネットワーク伝送技術における新たな成果である。NTTは、伝送システムやデータセンタでの利用に向けてこの新技術にリソースを投入してきた。われわれは、今後の帯域需要に備えてネットワークを拡大する必要がある」とNTT研究エンジニア、Taiji Sakamoto氏はコメントしている。
同氏によると、MCF開発には多くの課題が存在する。MCF開発の第1の課題は空間的狭窄である。ファイバは限られた空間に導入される必要がある、例えば地下管。したがって標準形の維持は最優先である。
サイズ制限を維持するために、研究チームは小コアピッチ、つまり小スペーシングのMCF開発に注目し、ファイバ内のコア数最大化した。ファイバ径制限を考慮に入れて、研究チームはファイバの125-µmクラッド内で結合コア配置を採用し、枠内にトータルで12コアを入れることができた。これらはランダム結合MCFにファイバのスペシャルツイストで配置し、最大容量とすることができた。
研究チームは、ファイバ内のコアの形状配置も研究した。3つの可能性は、19-コア六方配置、10-コア円形配置、12-コア正方格子である。研究チームは、12-コア正方格子デザインが空間密度に最適であり、ランダムモード結合を維持できると結論付けた。
研究チームの喫緊の課題は、空間モード分散(SMD)である。SMDでは、信号が時間領域で広がり、空間分割多重技術を実システムに導入する際に不可欠のリアルタイムDSP実現が困難になる。一本のファイバにコアパスを増やすことで、このような課題が増す。ランダム結合MCFは空間モード分散を最小化し、DSPの複雑性を低減すると研究チームは結論付けている。
「大きなSMDによる信号処理の複雑さは深刻な問題である。論文では、この点について、10以上のコアのMCFでSMDの抑制法を説明する」。
研究チームによると、次のステップは、ランダム結合MCFの拡張性の研究である。成功すれば10年以内に大規模市場で利用可能になる。
(詳細は、OFC2017で発表される)