January, 26, 2017, Los Angels--製造改善につながる進歩で、UCLAの研究チームの新しい成果によると、ナノ粒子を溶融過程中の金属に加えることで溶融制御が改善されることが示された。
金属の溶融と固化は、溶接や3Dプリンティングでも使用される重要な製造プロセスである。研究チームは、溶融/固化プロセスにおける改善が、効率と信頼性向上から得られる金銭的メリットがあると示唆している。
溶融中の金属には2つの重要な「ゾーン」がある。まず「溶融ゾーン」、ここでは金属が液化し、金属が広がって所望の形状になる。二番目は、「熱影響域」(HAZ)である。このゾーンでは、金属は溶かされるのではなく、その微小構造が熱によって劣化する。
溶融ゾーンが大きければ大きいほど、隣接のHAZは大きい。しかし、製造では、実際には逆の効果が望ましい。溶融ゾーンは深く最大化されていて対応するHAZが最小であると、高品質の溶融領域が可能になり、隣接領域における潜在的な欠陥の影響が低下する。
機械工学・航空宇宙光学教授、Xiaochun Li氏のチームは、後のニッケル溶融中に酸化アルミニウムのナノ粒子を加えることで、金属の溶融ゾーンの深さを68%増やし、一方でHAZを67%減らせることを示した。シリコンカーバイドのナノ粒子を加えると、同様の結果が得られた。研究成果は、Nature Commuinicationsに発表済み。
「ナノ粒子を含む材料の異常な溶融と固化についてのわれわれの発見は、現行の溶融及び個化製造工程に直ちに影響を与えるだけでなく、他のアプリケーション、例えば製剤プロセスやエネルギー蓄積にも影響を与える」とLi氏はコメントしている。
Li氏によると、加えられたナノ粒子は、溶融プロセス中の放熱を減らし、溶融ゾーンをより深くし、HAZを浅くする。
ナノ粒子アシストプロセスが機能する物理的メカニズムは2つある。1つは、ナノ粒子が熱伝導性を抑制する、したがって材料の残りの部分への伝導熱伝達を減らす、基本的により多くの熱が内部にトラップされる。
二番目に、ナノ粒子は溶融ゾーンの粘性を高める、これは熱キャピラリ流として知られるものを抑制する。また、溶融ゾーンからの熱伝達も遅らせる。
さらにLi氏は、ナノ粒子による微細構造の制御は様々な現行の加工技術に影響を与える、例えば溶接や3Dプリンティングでは、HAZの微細構造や材料特性の劣化が、コンポーネントの性能を制限する深刻な問題になっている。
「例えば、これを使って軽量、高性能部品の製造を改善することができる。航空機の翼やウインドタービンのブレード、あるいは機械的ギアのような精密部品の製造である」とLi氏は説明している。