January, 18, 2017, Princeton--プリンストン大学の研究チームによると、生細胞内の物質の操作に光を使うツールにより、タンパク質がどのように集まって多様な液相状態やゲル状の固体状態になるかの説明ができるようになった、これは多くの重要な細胞作用の理解のカギである。
プリンストン大学の研究チームは、新しいツール、optoDropletを開発した。これにより、膜のない細胞小器官に機能を果たさせる化学の操作と理解に今までになくアクセスできるようになる。
プリンストンの化学・生体工学准教授、Clifford Brangwynneは、「このoptoDropletツールによりわれわれは、膜なしの細胞小器官の自己組織化を支配する物理学と化学の法則を分析できるようになる。このプロセスの裏にある基本的メカニズムはほとんど理解されていない。それを理解することができれば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)のようなタンパク質凝集に関わる破壊的な疾患に対する介入や処置の開発に望みが見える」と説明している。
細胞小器官の中には、細胞内に浮遊する残りの物質とを隔てる壁となる膜がないものがある。これらの膜なし細胞小器官は、水、タンパク質、核酸や他の分子の海の中で自己完結構造としてなんとか存続している。
以前の研究で実証されたことは、細胞内の膜なしの細胞小器官は相転移プロセスで集結するというこである。過去数年の研究が明らかにしたことは、あるタンパク質の濃度を変えること、あるいはその構造を変えることが、トリガーとなってタンパク質が液滴のような細胞小器官になる相転移が起こるらしいことである。
今日まで、ほとんどの研究は、試験管の中で研究された精製タンパク質を使っていた。また、生細胞の相転移を研究する方法がほとんどなかった。optoDropletは、相転移がいつ失敗するかについて研究者が知るために利用できる。失敗とは、アルツハイマ病やALSを含む病気を示唆するタンパク質の固体ゲルや結晶性凝集体の生成である。
optoDropletは、光を照射することでタンパク質の振る舞いを変える光遺伝学という技術を利用している。研究チームは、光活性化タンパク質をスイッチオンすることで相転移を誘導し、膜なし細胞小器官を造れることを示した。また、光をオフにするだけで転移を取り消すことも可能になった。光強度とタンパク質濃度を高めることにより、研究チームは、さらに転移を制御することができた。そうした入力の変化により、濃縮液滴が形成される時を判断できる。同様に固体状、タンパク質凝集体、病気に関連する可能性も判断できる。
「optoDropletは、生細胞における、いわゆる相図を正確にマッピングできるように制御レベルを提供してくれる。これにより、様々なタイプの細胞小器官を形成するために、細胞が細胞間の相図を通して、その自然的機構をどのように使うかが分かるようになっていている」とBrangwynne氏はコメントしている。
(詳細は、www.princeton.edu)