December, 21, 2016, つくば--産業技術総合研究所(産総研)電子光技術研究部門光センシンググループ 藤巻真 研究グループ長、安浦雅人研究員は、下水の二次処理水などの夾雑物を含む試料中のごく少量のウイルスなどのバイオ物質を、夾雑物を除去しないでも高感度に検出できる外力支援型近接場照明バイオセンサ(EFA-NIバイオセンサ)を開発した。
今回開発したEFA-NIバイオセンサは、検出対象のバイオ物質に磁気微粒子と光を散乱する微粒子を付着させて、磁石と近接場光により「動く光点」を作って検出を行う。従来法には無い「動き」という識別方法により、夾雑物が多い試料から極めて低濃度のバイオ物質を簡単な操作だけで検出できる。この手法による、都市下水の二次処理水200マイクロリットル(µl)にノロウイルス様粒子約80個を混入(濃度10 fg/ml程度)させた試料中からのウイルス様粒子検出に成功し、洗浄工程を省略しても従来法より数桁高い感度で検出できることが示された。EFA-NIバイオセンサは、既存の技術では検出が難しかった環境中のごく微量のウイルスを簡便に検出でき、ウイルス感染予防への貢献が期待される。
研究成果は、学術雑誌Scientific Reports電子版に掲載された。
(詳細は、www.aist.go.jp)