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手術中リアルタイムで脳腫瘍を光らせるイメージング技術

December, 9, 2016, Philadelphia--手術中に腫瘍を明るく光らせる実験的癌イメージングツールが、Penn Medicine臨床研究で再び有望であることが実証された、今度は脳腫瘍患者である。蛍光染料技術は、肺癌治療用に精密手術ペンセンタ(Penn Center for Precision Surgery)で最初に開発されたが、これが手術中に脳腫瘍をリアルタイムで明るく光らせ、医師による健全組織と癌組織との区別に役立っている。米国では、毎年15000人以上の患者がガン腫瘍除去手術を受けている。
 脳の手術の大きな課題は、腫瘍全体が除去されていることを保証することである。現在のアプローチでは、腫瘍縁を特定するのは難しい。裸眼に見えず、指で感じることもできない癌組織は、腫瘍除去中に見逃されることがあり、再発する患者がでることになる、これは約20~50%である。
 Pennのアプローチは、正常細胞よりも癌組織に集積する注入可能な染料を利用するもので、これがそれを変える可能性がある。
 神経外科准教授、John Y.K. Leeは、「蛍光造影剤により可視化は全く新しいレベルになる。リアルタイムイメージング、病気の特定、さらに最も重要な点は、腫瘍の縁の正確な検出が可能になることだ。これによりわれわれはどこを切ればよいかがよく分かるようになる」とコメントしている。
 その技術は近赤外(NIR)イメージングと造影剤インドシアニングリーン(ICG)を利用する。ICGは、NIR光で明るい緑の蛍光を発する。
 今回の研究では、研究チームは、ICGの改良バージョンを用いた。これは手術の約24時間前に高濃度で静脈に注入され、周辺が確実に含まれるようにした。ICGの遅延イメージングを利用して脳腫瘍を可視化したのは、研究チームによると、今回が初めてである。
 15腫瘍のうちの12件が手術中の強い蛍光発光を示した。残りの3件の腫瘍で発光がなかったのは、可能性として、病気のグレードおよび注入のタイミングのためであるとチームは見ている。
 15患者のうち8人は硬膜を通して発光が見られ、脳の髄膜の厚い膜が開かれ、この技術で腫瘍が暴露される前に脳内深くを見ることができることが示された。開かれると、全ての腫瘍がNIRイメージングによって捕らえられた。
 研究チームは、神経病理学と磁気共鳴イメージング(MRI)を使って切除縁を調べ、腫瘍組織の特定でNIR蛍光の正確さと精度を評価した。
 MRI強化腫瘍とその切除縁から集めた71例のうち、61(85.9%)が蛍光発光し、これらの51(71.8%)がグリオマ組織として分類された。
 12MRI強化グリオマのうち、4患者は、無蛍光と腫瘍細胞陰性の両方の生検組織を持っており、これはMRIで見た全切除と一致した。対照的に8患者は切除キャビティに残余蛍光シグナルがあった。これらの患者の3例が、MRIで全切除を示した。このことは、論文の著者によると、切除後の真の陰性NIRシグナルのためである。
(詳細は、www.upenn.edu)