December, 1, 2016, 仙台--東北大学多元物質科学研究所秩父重英教授・小島一信准教授は双葉電子工業の協力を得て、熱力学的に混ざりにくい窒化アルミニウムインジウム(AlInN)混晶を非極性面にエピタキシャル成長させた薄膜ナノ構造を蛍光表示管(VFD)に搭載することにより、波長210nmに迫る深紫外線(DUV)から緑色までの小型偏光光源を実現した。
現在、地球上で安全な水を飲めない人口は11億人、清潔な公衆衛生が保たれていない人口は26億人。この人々に安全な環境を提供して世界に貢献できる方法の一つに、波長260-280nmの高効率DUV固体光源を低コストで開発することが挙げられめ。この用途に適する医療・消毒・殺菌用光源として、また、超高密度光記録や見通し外通信用の光源として、さらに大型ガスレーザや各種大型励起光源の固体化による小型化を目指して、波長300nm台から200nmを切る紫外線(UV)~DUV光を呈する発光ダイオード(LED)やレーザダイオードの開発が望まれている。研究グループは、本質的には混ざりにくく結晶成長が困難なAlInN混晶を、2014年ノーベル物理学賞の受賞対象となったc面青色LEDとは異なる結晶面である、非極性m面にエピタキシャル成長させ、そのナノ構造をVFDに実装することによって、面内で直線偏光されたDUV光や青色、緑色の光を呈する小型光源を実現した。この研究で開発された光源の高効率化、低コスト化、高信頼性化が実現できれば世界に大きく貢献するものとして期待される。
研究成果はドイツWILEY-VCHの科学誌「Advanced Materials」にオンライン公開された。