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スタンフォード物理学者、解像度増強マルチパス顕微鏡を開発

October, 17, 2016, Stanford--スタンフォード大学の研究チームは、微光顕微鏡画像を鮮明にするために、「マルチパス顕微鏡」を考案した。
 光学顕微鏡では、フォトンがディテクタに当たることで像が形成される。研究チームは、個々のフォトンがサンプルと多数回相互作用すれば、たとえ微光でも、もっと優れた結果が得られることを見出した。これを顕微鏡で実行するために、標本を通して光を送り結果画像を直接撮る代わりに、研究チームは、標本に繰り返し画像を反射させる。
 論文の共著者、院生のBrannon Klopferは「ある意味、対象の写真を何度も撮っているようなものだ」と言う。最初に標本の画像をとり、次に標本をそれ自体の画像で照射する。画像を得ると再び送り返してサンプルを照射する。これによって、コントラストが強化される。
 マルチパス顕微鏡だけが、ショットノイズ限界を克服するアプローチではない。もう1つの方法、量子顕微鏡はエンタングルフォトンを使って同じ結果を達成する。しかし、それは実行がもっと難しい。
 エンタングルフォトンは、量子相関を示すフォトン。エンタングルフォトンの一方に作用するとたとえ両者が離れていても、他方にも影響を与えることができる、。これをアインシュタインは「遠隔作用」と呼んだ。
 エンタングルフォトンの相互に情報を伝え合う力により、量子顕微鏡は標準的な顕微鏡よりも高品質の画像を生成できる。現在、マルチパス顕微鏡は同程度に強化された結果を生み出すことができる。付加的利益は、量子顕微鏡ほど難しい準備は必要ないという点にある。
「2つのフォトンをエンタングルするときに得られる利益は、われわれがサンプルを透過するときに得られるものである。現在、10個のフォトンを相互にエンタングルした状態を作るよりも1つのフォトンを10回サンプルを透過させる方が技術的に容易である」とポスドク研究者、Thomas Juffmannは説明している。

 マルチパス顕微鏡は信号強化技術として機能するので、単なる微光を増幅できる以上である。その方法は、画像ノイズ源がフォトンの再利用によって増大しない限りにおいて、様々な顕微鏡技術の感度を向上させることができる。
 「マルチパスは画像の信号を強めるが、ノイズはほとんど影響しない」とBrannon Klopferは言う。
 現在、マルチパスは光学顕微鏡に限定されているが、スタンフォードの研究チームは、マルチパス電子顕微鏡に取り組んでいる。ここでは損傷のために、単一タンパク質あるいはDNAの原子スケールイメージングは妨げられている。電子顕微鏡で電子を再利用することができれば、光学顕微鏡におけるフォトンの再利用と同様に画像品質が向上する。