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THz無線通信のキーコンポーネント開発

October, 7, 2016, Nijmegen--GHz周波数の代わりにTHzを使う超高速ワイヤレス通信ネットワークが一歩前進した。
 ラドバウド大学(Radboud University)FELIX研究所の研究チームは、既存の光ファイバネットワークを利用してTHz周波数信号波を効果的に伝送できることを示した。
 HDTV、ビッグデータ、IoTやソーシャルメディアが、ワイヤレス通信ネットワークのデータレートを大幅に増やし、なおも増え続けている。このネットワーク成長を容易にする明確な方法は、THz周波数を使って100Gb/sまでの高速データレートにすることである。現在のワイヤレスデータ通信システムは、1GHz程度のマイクロ波周波数を使って平均100Mbps程度で動作している。例えば、GPSシステムは、1.3GHz、WiFiは2.4と5GHz、マイクロウエーブは2.45GHzである。フリー周波数の研究で、まだ開拓されていないTHz領域は非常に魅力的である。

THz信号の歪
インターネットでワイヤレスTHzサーフィンをするには、THzワイヤレスステーションを光ファイバネットワークに接続する必要がある。しかし、既存のマイクロ波技術はTHz周波数では動作しない。「THzは難しい周波数領域である、それが同時に電子でも光でもあるからだ」とFELIX研究者、Giel Berdenは説明する。「通常の光にしては低すぎ、標準的なエレクトロニクスにしては高すぎる」さらに、光ファイバネットワークのTHz信号はスクランブルする、標準的なレーザ変調光が2つのサイドバンドを生成し、それらが相互に干渉するからである。光シングルサイドバンド(OSSB)は、選択的に一方のサイドバンドを消去することで情報のこのようなスクランブルを阻止する方法である。

特殊ビームスプリッタ
ラドバウド大学FELIX研究所の研究者たちは、OSSB変調器を開発した。これは、ワイヤレスTHz波を乱されることなく光ファイバネットワークでの伝送を可能にする。筆頭著者、Afric Meijerは、「特殊設計のビームスプリッタでTHz波と赤外レーザ光を半分に分け、2つのサイドバンドの一方を60倍弱める。他方のサイドバンドの強度は大幅に向上する」と説明している。特殊変調器は可動部分、色フィルタなどは含んでいない、0.3~1 THzの超ワイドバンドで動作する。
 THz OSSB変調器は、ラドバウド大学のTHzレーザFLARE(Free-electron Laser for Advanced spectroscopy and high-Resolution Experiments)についてのTeraOptonicsによる研究の副産物である。「FLAREのレーザ光の波長を決める装置は、THz OSSB観察に必要なものだった。特殊THzレーザFLAREとAfricのTHz周波数通信拡大する関心の両方が、この斬新な領域に影響を与えるには不可欠であった」と共著者、Wim van de Zandeは話している。

ウルトラHD、VR、ビッグデータへの機会
空中のTHz信号は水蒸気による吸収が激しいので、ワイヤレスTHz通信は主に比較的短距離で使われることになる。「われわれのTHz OSSB変調器により、既存の光ファイバネットワークが利用できるようになる。ウルトラHDや仮想現実(VR)画像をTHzリンクから無線で送受信できる、これは研究機関や病院のペタバイトデータのようにである。今回の発表は概念実証。実際に技術を使うには、もう2,3歩前進が必要である。例えば、マイクロファブリケーションの縮小、効率の改善など。この考えは、業界によってさらに発展すると考えている」とBerdenは語っている。