September, 9, 2016, Los Angels--UCLAの研究チームは、血液と血漿中のタンパク質の検出をスピードアップし簡素化する方法を見出した。これは、来院中に、感染症やガンの存在を早期に診断する可能性を開くものである。現在の最先端のテストが2~4時間かかるのに対して、新しいテストは、10分程度である。
新しいアプローチは、病気のバイオマーカーとなるタンパク質の発見でいくつかの重要な課題を克服した。まず、これらのタンパク質は体液中に少量しか存在しないことが多く、正確な同定には増幅プロセスが必要になる。現在のアプローチは、酵素を使ってタンパク質からの信号を増幅する。しかし酵素は、適切な温度で蓄積されていないと分解する可能性がある。また、偽陽性を回避するために、過剰な酵素は洗い流す必要がある。これは、テストの複雑さとコスト増につながる。
UCLAのチームは、酵素なしでタンパク質の信号を増幅するアプローチを考案した。これにより、過剰な酵素を洗い流す複雑なシステムの必要性がなくなり、目標とするタンパク質が存在するだけでテストができることになる。この新しいアプローチは、ターゲットタンパク質が存在するときに強いトリガーとなる分子の連鎖反応を利用した。
分子の連鎖反応は、DNAの結合サイクルが駆動力になっている。このプロセスは、1つのDNAキーが2つの部分に分割されることで始まる。目標タンパク質が存在すると、その2つの部分は結合してDNA複合体を形成する。DNA複合体の形成は、DNAシグナリング分子を生成し、次にそれが同じDNA複合体を生成、さらにシグナリング分子が増え、したがって繰り返しサイクルが進行する。
「DNA“キー”を2つの部分に切断することで、各部分が別々に反応の触媒作用となったり、あるいは反応を開始するのではなく、タンパク質が接着剤として機能するときにのみ、本質的にその部分を架け橋するときに、DNAキーが再び機能させる」とDi Carlo研究所、論文の筆頭著者Donghyuk Kim氏は説明している。
UCLAのチームの成果は、先行研究をベースにしている。ここでは、DNA検出のために酵素フリー核酸増幅メカニズムを利用した。
「近接連結分析など、タンパク質の増幅読み出しを行う以前のアプローチと異なり、今回のアプローチは多数の酵素、重合ベース酵素反応、あるいは信号を増幅するための温度制御を必要としない。実際、新しい試験は室温で動作し、10分程度で結果が得られる」とDi Carlo生体医用工学教授は説明している。
研究チームは、そのアプローチを2つの目標タンパク質で実証した。新しい診断分析のテストタンパク質として広く使用されるストレプトアビジン、それとインフルエンザウイルスに関連するタンパク質であるインフルエンザ核タンパク質。
長期的には、研究チームは、その技術とポータブル読み出し装置とを結び付けようとしている。リソースが乏しい地域の診療所では特に役に立つ。