August, 31, 2016, Los Alamos--発展する太陽光発電産業でペロブスカイト結晶を使用するために、ロスアラモス国立研究所(LANL)、ノースウエスタン大学、ライス大学の研究グループは、結晶製造法を微調整し、新しいタイプの2D層状ペロブスカイトを開発した。これは傑出した安定性があり、材料の以前の変換効率の3倍以上を達成している。
「結晶の方向が20年以上にわたり難題だった。実際の鋳造プロセスで結晶の方向を変えることができたのはわれわれが初めてである」とライス大学院生でLANLで研究しているHsinhan Tsai氏はコメントしている。「これはブレイクスルーである、われわれのスピンキャスティング技術を使って層状結晶を作製した。そこでは電子が、ミッドレイヤ、有機カチオンにブロックされることなく、材料に垂直に流れる」。
この研究はLANLのミッションの一部である。これには、学際的な研究で国家のエネルギー安全保障を強化することが含まれている。また、それには代替エネルギー源の研究も含まれる。
2D材料そのものは当初ノースウエスタン大学で作製された。同大学の研究チームが、層を基板に対して垂直にする2D材料の研究を始めた。「2Dペロブスカイトは、ペロブスカイト研究に新たな次元を開く」と同大学のMercouri G. Kanatzidis教授は言う。「それは次世代の安定した太陽電池デバイスに新たな地平を開く。また、発光ダイオード、レーザ、センサなどのオプトエレクトロニクスデバイスでも同様である」と同氏は話している。
LANLのWanyi Nie氏、論文の共著者によると、この新しい2Dペロブスカイトは、常時ライティング下でも、空気に晒しても、既存の3D有機、無機結晶よりも高効率であり、安定的である。
課題はすでに見つかっている。3Dペロブスカイトは光物理特性が優れており、パワー変換効率が20%を超えているが、これを上回ることだ。とは言え、まだ光、湿度、熱のストレステストで性能劣化に悩まされている。
以前の研究成果ではLANLのチームは、暗闇の中でわずかな中断後、3Dペロブスカイト効率回復を洞察したが、障害耐性の高い2Dアプローチにシフトすることで、より良好な結果が得られている。
ノースウエスタンチームが以前に調べた2D結晶は、層間のギャップを誘起カチオンが直撃するときにパワー低下となり、結晶の面外アライメントのために、変換効率が4.73%まで落ちた。しかし、ホットキャスティング技術を適用してより簡素化すると、垂直アライメントされた2D材料はそのギャップを除去したようである。現在その2D材料は12%の効率を達成している。
「われわれは単結晶薄膜を作製しようとしている。これはPVに関連するだけでなく、高効率発光アプリケーションにも関係し、われわれは現行技術と競争できるようになる」とプロジェクトの主席研究者、Mohite氏はコメントしている。