August, 12, 2016, Durham--デューク大学(Duke University)の工学、物理学研究グループは、細胞レベルの解像度で網膜の画像を撮ることができるハンドヘルドデバイスを開発した。この新しいデバイスにより研究グループは初めて、子供と幼児の目について詳細な構造的情報を集めることができた。
デューク大学眼科、生体医用工学教授、Cynthia Toth氏は、「網膜を検査、撮像する診断ツールは、大人用にはよくできた設計だが、幼児や子供に使用するのは極めて難しい。子供は、求められる所要の位置を保つこと、十分に長い時間集中することができないからだ。これまで、子供たちの光受容体の損傷、また病気の影響を調べることは不可能だった」と話している。
眼は研究やイメージングにとってまたとない機会を与えてくれる。数ミリ下には重要な構造が埋もれているので、それを調べるには非常に広範な技術が必要となる。
過去30年にわたり、これらの中で最も普及しているものの一つがOCTである。特別な周波数の光を眼の組織に照射し、その反射光を元の光と比較することで研究者は、眼の奥数ミリメートル(㎜)の深さの3D画像を撮ることができる。
しかし、これまでのOCTは非常に大きく、患者は装置の前に静かに座って、特定の点に集中し続けていなければならない。このプロセスは数10分かかり、子供にとっては永遠の時間となる。
OCTと他の技術をベースにしたハンドヘルドデバイスがこれまでに開発されているが、これらは理想には程遠い。重量が数ポンドあり、子供の目に対してそれを動かないように保持することは難しく、それに個々の光受容体を見ることができる高い解像度のものは存在しない。
Nature Photonicsに発表された論文では、デューク大学の研究者、眼科医は新たなオプションを提案している。そのハンドヘルド機器はタバコの箱程度のサイズ、重量はスライスしたパン数枚分であり、網膜の細胞構造の詳細情報を収集することができる。
小型スキャニングミラーの新タイプは最近、大型の旧モデルを置き換えるところまで進歩している。光をコリメートするのではなく、収束を利用する新設計は、デバイスのテレスコーピング(はめ込み)長を1/3に縮小した。湾曲、厚さ、ガラスタイプを詳細に示す特注レンズは、論文の筆頭著者、Francesco LaRocca氏が特別設計し、作製した。また、コンポーネントを保持し組み込む機械的設計は、Derek Nankivil氏が設計した。
新しいデバイスは、大人でテストするのために臨床医に渡され、正確な光受容体密度情報が得られることが証明された。またデバイスは、麻酔下ですでに目の検査を受けた子供の研究イメージングにも使用された。
研究グループは、臨床医から改善できる点のフィードバックを受けて次の世代の設計にとりかかっている。