August, 10, 2016, Rochester--ロチェスタ大学(University of Rochester)の研究チームは、100フィート離れた距離でTHz波を検出できることを実証した。
研究チームが作り出すTHz波は、より一般的な手段で生成するものと比べて5倍以上高強度であり、今後、隠蔽された物体の像をかなり遠くから検出することができるようになる。
これまでのTHz波の欠点の1つは、THz波が空気中の水分子に吸収されて、距離が長くなると大幅に弱くなり、効果的ではなくなること。オプティクス研究所のPhD学生、Kang Liu氏は、「THzヘルツ波が強ければ強いほど、効果は一層強くなる」と言う。
研究成果の要諦は、THz波生成にリング-Airyビームという特別なレーザビームを使用したことである。これは標準的なガウシアンビームで作られるTHz波のパルスエネルギーの5.3倍となる。
通常の光ビームは伝搬するに従い広がるが、リング-Airyビームの場合はそうではなく、あらゆる点から中心に向かって曲がる。
プロセスの初めでLiu氏は、レーザビームを空間光変調器(SLM)に向け、これによってリング-Airyビームを作りだす。その名から分かるように、ビームは円形で中空である。ビームは伝搬にしたがって広がるのではなく、内側に倒れ込み、自由電子の強く励起された領域、つまりプラズマができる。次に、その電子がTHz波を生成する。このようなTHz波は、ターゲット近くまで浸透し、画像を反射したり、隠されたものの生きた化学的情報を提供することができる。
「ターゲットが爆発物の疑いがあるとき、安全な距離で作業することが重要である。この方法では、100フィート以上離れてTHz遠隔センシングができ、よりロバストで柔軟な方法でTHzを遠隔で生成する方法を提供できると考えている」とLiu氏は話している。
変調器によって、リング-Airyビームのサイズを変えることができ、作り出すプラズマの大きさを調整できる。次のステップは、リング-Airyビームを操作して、より強力なTHz波を生成し距離を延ばすことである。