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インテグラルフォトグラフィを用いたホログラフィック・ピラミッドを開発

August, 9, 2016, 厚木--神奈川工科大学情報学部情報メディア学科の山内俊明助教、牧奈歩美助教、および谷中一寿教授のグループは、奥行き感のある3D映像を表示できる「ホログラフィック・ピラミッド」を開発した。
 従来のホログラフィック・ピラミッドは、スマートフォンやPCなどのLCD(液晶ディスプレイ)に表示された2D映像を、その上に置かれた透明合成樹脂板などでできた四角錐(ピラミッド)の表面で反射させるというもの。ピラミッドの表面は透過率の高いハーフミラーとして作用するため、周囲から観察すると、あたかも2D映像がピラミッドの内部に浮いているように見える。従って、たとえば2D映像としてクラゲが泳いでいる動画像を用いれば、あたかもクラゲがピラミッド内に浮かんで泳いでいるかのように見える。
 これはホログラフィックと呼ばれているが、レーザ光線の干渉を用いるホログラフィとはまったく別な技術。特別なステレオメガネをかける必要がなく、スマートフォンと透明板でできたピラミッドさえあれば手軽に立体的な映像が楽しめるので、近年、大変人気がある。
 しかし、従来のホログラフィック・ピラミッドは2D映像を反射させているので、ピラミッド内に浮かんで見える像も実は2Dであり、奥行き方向の情報が存在しないという制約があった。
 神奈川工科大学のグループは、LCDとピラミッドとの間にフライアイレンズ(蝿の目レンズ)を介在させることで、立体写真技術であるインテグラルフォトグラフィ(IP)方式の裸眼立体表示ができるようにした。これにより、IPで生成された3D映像が透明樹脂板(アクリル製)で反射されて観察者の目に届くので、ピラミッド内に浮かんで見える像も2Dではなく3Dになる。
 同グループはこの方式の有効性を確認するため、雪だるまが降雪を喜んでジャンプしているようなアニメーション作品を制作した。従来方式だと、ピラミッド内に浮かんで見える映像自体は平面的であり奥行き感が得られないが、この方式では映像自体が3Dなので、雪だるまの手前や奥も含むピラミッド全体に雪を降らすような表示ができる。従って、遠近感による臨場感を伴う3D映像表示が可能になる。しかもIP方式なので、水平方向だけでなく垂直方向にも視差が得られ、さまざまな方向から見ても立体感を感じることができる。
 同グループは、この方式がメディア・アート、博物館や商店などでの展示、テーマパークでのアトラクションなどに利用できる可能性があると考えており、今後、用途開発を進めていく予定である。