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多彩な蛍光を発することができる単一分子有機化合物を開発

August, 9, 2016, 岐阜--岐阜大学 工学部 化学・生命工学科、村井利昭教授らの研究グループは液中のpHに依存して蛍光色が変化する蛍光物質を開発した。
 色の源には様々な物質(元素や化合物)が関与しているが、これまでの常識では、ある物質が発現できる色は、少しの例外を除いて、一つであると信じられてきた。村井教授らは、自身の研究グループが合成に成功した低分子の蛍光化合物では、酸と反応すると発現する色が変化することを突き止めた。
 さらに、pHを変えることで単一の有機化合物による多彩な蛍光色を実現した。研究では、村井教授らが開発した硫黄原子・窒素原子を組み込んだ新たな低分子有機化合物(アミノチアゾール)が塩基として作用し、酸を加えることで、単一分子による多彩な色の蛍光を実現したものである。また塩基と酸の当量比注1)の微調整により白色発光も実現した。

今回の研究成果は、有機溶媒中における新たな蛍光発光化合物の反応を明らかにしたものである。今後、この化合物の水への可溶化や有機フィルム内への固定化が成功すれば、幅広い用途への応用が期待される。将来的には有機EL(OLED)照明やOLEDディスプレイ、重金属などを検出するための化学センサチップなどへの応用などが期待される。この化合物は単一の分子で多彩な色を発光するため、この化合物を応用した新しい製品は、製造工程の簡略化につながり、比較的低コストで普及できる可能性がある。
(詳細は、www.jst.go.jp)