July, 29, 2016, New York--NASAの研究チームがCubeSat科学研究向けに特別に開発している軽量望遠鏡は、エポキシレジンに埋め込んだカーボンナノチューブでできたミラーを搭載した初の望遠鏡となる。開発の狙いは、科学界にコンパクトで再現性があり、相対的に安価な、CubeSatに簡単に組み込める望遠鏡を提供すること。個々のCubeSatは、一辺が4インチ。
CubeSatを含む小型人工衛星は、NASAの探査、技術実証、科学的研究や教育研究でますます重要な役割を果たしている。これらの小型衛星は、NASAのミッションにローコストプラットフォームを提供する。惑星宇宙探査、地球観測、基礎的な地球と宇宙の科学、最先端のレーザ通信、衛星間通信、自律運動能力など先駆的科学計測器の開発が含まれる。
Kostiukのチームは、UV、可視光、赤外波長帯に感度があるCubeSatを開発しようとしている。市販の分光計とイメージャを実装し、「大規模ミッションにつながるクイックルーク向けの探査ツール」として理想的である、とKostiukは説明している。
研究チームは、3台の市販小型分光計からなるラボ用光ベンチを作製した。分光計は、光ファイバケーブルで、3インチ径カーボンナノチューブミラーの集光ビームに接続される。チームは、望遠鏡全体の設計をテストするためにその光ベンチを使用する。
新しいミラーは、ローコストの宇宙望遠鏡実験の要となる。
ほとんどの望遠鏡ミラーはガラス、アルミニウムでできているが、それとは異なり、この特殊な光学部品はエポキシ樹脂に埋め込まれたカーボンナノチューブ(CNT)でできている。サブミクロンサイズ、円筒形のCNTは特別な力と独自の電気的特性を示し、効率的な熱伝導体である。
CubeSat望遠鏡にCNT光学部品を利用することで多くの利点が得られる。軽量、高安定性、容易な再現可能性に加えて、CNTミラーは研磨不要である。
ミラー作製には、技術者はエポキシとカーボンナノチューブの混合物を、特殊な光学処方を満たすように造られた型に流し込むだけでよい。次にモールドを加熱してエポキシを硬化させ固める。出来上がると次にミラーは、アルミニウムと二酸化ケイ素の反射材料でコーティングされる。
研究チームによると、「特殊な型が造られると、何十もの同じ低質量、均一性の高い複製がローコストで製造可能である」。
CubeSat望遠鏡は、光学技術の1つの適用可能性である。
多数のミラーセグメントで構成される、もっと大きな望遠鏡にもこの技術は有効である。例えば、18の六角形ミラーがJames Webb Space Telescopeの21フィート主鏡を形成する、ハワイ、マウナケアのケック天文台の各ツイン望遠鏡は、36セグメントで32フィートのミラーを形成する。
これらの望遠鏡のミラーセグメントの多くは同じものであり、したがって単一の型を使って製造可能である。
さらに、カーボンナノチューブミラーは「スマートオプティクス」にすることができる。例えば、Keck望遠鏡で、単一の完全焦点を維持するために各ミラーセグメントが複数の外部搭載アクチュエータを持っており、これがミラーの形状を多様な望遠鏡の方向で必要となる特殊形状に変形させる。
CNTミラーの場合、アクチュエータは製造時にオプティクスに作り込むことができる。硬化前にレジンに電界を印加することでこれは完成する。これはCNTチェーンとネットワークの形成となる。硬化後、技術者はミラーにパワーを供給して、光学面の形状を変える。このコンセプトはすでに実験室で証明されている。