July, 29, 2016, Cambridge--MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)とイスラエルのワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)の研究チームは、特別なメガネ類なしで、映画館で3D映画を見ることができるディスプレイを実証した。
“Cinema 3D”、プロトタイプは特別なレンズアレイとミラー使い、視聴者が映画館のどの座席からでも3D映画を見ることができるようにしている。
論文の筆頭著者、ワイツマンPhD Netalee Efratによると、これは大規模にメガネフリーで3Dを可能にする初めての技術的アプローチ。「通常のメガネフリー3Dは、解像度要件が非常に大きくて非実用的である」とMITのWojciech Matusik教授は指摘している。
システムは、現在、製品化の段階にないが、将来的には映画館の3Dムービーのメガネフリー代替技術になる。
メガネフリー3Dは既に存在するが、映画館規模に拡大できない。TV用の従来の方法は、スクリーンの前に一連のスリット(視差バリア)を使い、それぞれの眼が違うピクセルを見るようにして奥行き知覚を模擬している。
しかし視差バリアは視聴者からの距離を一定にしなければならないので、このアプローチは、視聴者が様々な角度や距離に存在する映画館のような大規模スペースには実用的ではない。
Cinema 3Dで重要な洞察は、劇場の人々は、シートの幅が限られているために、非常に小さな範囲の角度でしか頭を動かせないと言うことである。したがって、画像は狭い範囲の角度で表示すればよく、劇場のすべてのシートに対してそれを再現すればよい。
次にCinema 3Dがすることは、個々の観客が自分の位置に調整された視差バリアを見ることができるように、1つのディスプレイに多数の視差バリアをエンコードすることである。すると、Cinema 3Dの特別な光学系内の一連のミラーとレンズによって劇場全体で視界が再現される。
「3D TVでは、動き回って様々な角度から見る人々を考慮に入れなければならない。つまり、視聴者がどこからでも画像を見ることができるように、限られた数のピクセルを分割して投影しなければならない。劇場で、全ての人が多かれ少なかれ固定された位置に長時間にわたり座っているというユニークなセットアップを利用した」とスタンフォード大学電気工学准教授、Gordon Wetzsteinは説明している。
研究チームは、このアプローチにより、劇場の様々な場所で視聴者が安定した高解像度の画像を見られることを実証した。
Cinema 3Dは、現状では実用段階にない。プロトタイプは、メモパッドよりもわずかに大きい50セットのミラーとレンズを必要とする。しかし理論的には、この技術はどんな状況でも有効であり、3D画像は多数の人々が同時に見ることができるようになる、とMatusikは説明している。