February, 5, 2014, Adelaide--アデレード大学(University of Adelaide)物理学の研究グループが新しいタイプのレーザを開発した。このレーザは、呼気分析による病気の診断、重要なグリーンハウスガスのリモートセンシングなど様々な用途に使用できる。
研究成果はOptics Lettersに掲載されており、それによるとこの新しいレーザは、同じ波長で動作する他のレーザと比べて光出力が25倍大きいため、非常に濃度の低いガスの検出が可能となる。レーザは、3μm以上の波長帯で動作するフッ化ジルコニウムガラスファイバレーザ。室温でCW出力260mWを達成している。
レーザは中赤外域で動作するが、この領域は多くの炭化水素ガスが光を吸収する波長帯。
「この電磁スペクトラム領域を、今回達成したハイパワーでプローブすることは、これらのガスを高感度で検出できることを意味する。例えば、治療で呼気の微量ガスの分析が可能になる」とプロジェクトリーダー、Dr. David Ottawayはコメントしている。
研究の結果、様々な病気で、通常は出ないような微量のガスが呼気から検出できることが分かっている。例えば、糖尿病に罹っていると呼気からアセトンが検出できる。
他のアプリケーションでは、地球温暖化で重要なガスであるメタンやエタンの検出ができる。
「これらのガスのレーザ検出の限界は、これまではこのスペクトル域で十分なエネルギーを出せる適切な光源がなかったことだ。数少ない光源は一般に高価で大きく、普及には適していない」(Dr. Ottaway)。
新しいレーザは取り扱いが簡単な光ファイバを使用する。光ファイバは、他のタイプのレーザに比べて嵩張らず可搬であり、遙かにコスト効果が高い。
研究チームは、3.6μmでの発光も報告している。これは室温動作のファイバレーザからの中赤外発光では最遠端になる。さらに、3.3~3.8μmの波長域で効率的な発光が可能であることも報告した。