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2014年日本国際賞受賞者に末松安晴博士とデビッド・アリス博士

January, 30, 2014, 東京--国際科学技術財団は、2014年(第30回)日本国際賞(ジャパンプライズ)を末松安晴博士(日本)とデビッド・アリス博士(米国)に授与することを明らかにした。
東京工業大学栄誉教授である末松博士は「エレクトロニクス、情報、通信」分野での受賞。「大容量長距離光ファイバ通信用半導体レーザの先導的研究」により、インターネットを始めとする情報ネットワークを支える大容量長距離光ファイバ通信に道を拓いた功績が認められた。
末松博士は、光ファイバを使用する高性能伝送システムを早くから提唱し、実現すべきシステムから必要とされるレーザの特性を定めて、理論から材料までの広範な分野をカバーした工学的アプローチで大容量長距離通信用途の半導体レーザ開発を先導した。1974年に位相シフトを有する周期的構造を用いた反射器を半導体レーザに集積することを提案し、高速変調時に発振波長が安定する動的単一モードレーザの概念へと発展させた。並行して、光ファイバの損失が最小となる1.5μm帯で発振するInGaAsPレーザの室温連続発振を実現。1981年には、これらの技術を組み合わせ、位相シフトを有する反射器を集積したInGaAsPレーザを1.5μm帯で室温連続発振させ、動的単一モード動作を世界で初めて実証した。当初、集積レーザは技術的に難しいとみられていたが、これを覆して大容量長距離光ファイバ通信への道を拓いた。現在、動的単一モードレーザは、大容量光ファイバ通信の光源として、陸上光幹線、大陸間海底光幹線に遍く使われている。 
アリス博士は、今年のもう一つの授賞対象分野である「生命科学」分野での受賞で、DNA配列の変化を伴わない遺伝子の後天的変化を研究するエピジェネティクスの学問領域で、世界で初めて、「遺伝子発現の制御機構としてのヒストン修飾を発見」。長年謎となっていた、染色体を構成するタンパク質の1つで、DNAが巻きついているヒストンの化学変化(化学修飾)の意義を解明した。同博士の発見以来、ヒストン化学修飾による遺伝子活性制御機構の概念が確立し、エピジェネティクスに大きなインパクトを与えた。また、がんの発症にヒストン化学修飾のようなエピジェネティクスの異常も関与していることがわかっており、がん治療薬の開発に貢献している。実際、ヒストン・タンパク質のアセチル化を制御する薬剤が皮膚T細胞リンパ腫の治療薬として米国で承認され、臨床の場で使用されている。ヒストン化学修飾の研究はiPS細胞を用いた再生医療の進歩にも貢献している。アリス博士は現在、米国ロックフェラー大学教授として、クロマチン生物学・エピジェネティクス研究室の室長を務めている。
授賞式は、4月23日(水)に東京で開催され、各氏に賞状、賞牌と賞金5,000万円が贈られる。