May, 27, 2016, Boston--光感受性、光恐怖症は偏頭痛のよくある症状であり、これは世界人口の約15%に影響を与えている。BIDMC(Beth Israel Deaconess Medical Center)の研究チームの新しい研究によると、偏頭痛患者に狭帯域の緑色の光を当てると、光恐怖症が著しく抑制され、激しい頭痛も緩和されることが分かった。
「光恐怖症は通常、まともに生活できないほどの頭痛ではないが、光に耐えられないことで無力になる」と論文の著者、BIDMCのRami Bursteinはコメントしている。「偏頭痛発作の80%以上が光感受性に関係しており、また光感受性で悪化している。偏頭痛患者は暗闇のやすらぎを求め、仕事や家族、日常活動から距離を置く」と同氏は説明している。
5年前、研究チームは青色の光が盲目の偏頭痛患者に苦痛を与えることを発見した。この発見から、偏頭痛が起こっている際の光に対する異常な感度は青色の光を遮ることで緩和できるという考えが引き出された。しかし、研究はすべての光の色を感知できな盲目の患者にしか関係していなかったので研究チームは、視覚障害のない患者の頭痛について様々な色の光の影響を調べる方法を考案した。
新しい研究で、偏頭痛患者が受けたすべての光の中で、他のすべての光と比べて狭帯域の緑色の光が偏頭痛をあまり悪化させないことを確認した。また、低強度の緑の光は頭痛を軽減できることも分かった。研究チームは、急性の偏頭痛発作の患者に、青、緑、琥珀色、赤の光を当てたときの頭痛の変化を報告してもらった。明るいオフィスのような、高強度の光では、約80%の患者が、緑以外のすべての光に晒されると頭痛が強くなると報告した。さらに、予想外であったが、緑の光が20%程度の患者の苦痛を和らげることが分かった。
緑の光が偏頭痛患者の苦痛を著しく和らげる理由を理解するために研究チームは、これらの患者が光のそれぞれの色に反応して網膜と大脳皮質によって生成される電気信号の大きさを計測する実験を考案した。青と赤の光が、網膜と大脳皮質の両方で最大信号を生成し、緑の光が生成する信号が最小であることが分かった。
さらに、BIDMCのRodrigo Nosedaが最近開発した画期的な技術を適用し、研究チームは、動物モデルを使って視床のニューロンを調べた。視床は、光情報を眼から大脳皮質に伝送する脳の領域。ここのニューロンは青い光に対する反応が最も強く、緑の光に対する反応が最も小さいことが分かった。これは、偏頭痛脳が緑の光に好意的に反応することの説明になっている。
Bursteinは、低強度の「ピュア」(狭帯域)グリーンの光を放出する手ごろな価格の電球、また狭帯域ピュアグリーンの光以外のすべてをブロックする安価なサングラスの開発に取り組んでいる。