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成人の脳は新しいニューロンの枝分かれした接続を切り取る

May, 16, 2016, La Jolla--ソーク(Salk)の研究によって成人の脳の発達を初めて密接に追跡し、自閉症や統合失調症などの神経発達障害を見通せるようになる。
 成人の脳はその構造を微調整するとき、彫刻家のように機能する。完璧な設計となるように必要以上の余分な部分を切り捨てることから始める。これは、成熟マウスの脳細胞の発達をリアルタイムで追跡する新しい研究の結論である。
 新しい脳細胞は異常成長の時期から始まり、多くの神経ブランチを送り出し、次に接続を切り戻す。Nature Neuroscienceに発表された観察によると、成人の脳の新しい細胞は、研究者がこれまで考えていたよりも胚脳と同じような細胞が多く、自閉症、知的障害、精神分裂病(統合失調症)を含む病気の理解に密接なかかわりがあることを示唆している。
 脳の数十億の細胞のほとんどは、生まれる前に形成されるが、遺伝学研究所のRusty Gage教授のグループは以前に、哺乳類の脳の数少ない選定領域では、成人期に幹細胞が新しいニューロンに発展することを明らかにしている。新しい研究では、研究グループは歯状回細胞、脳の深部にあって新しい記憶の形成にかかわると考えられている細胞に焦点を当てている。研究グループは、新しい顕微鏡技術を使って成熟マウスの歯状回で新しい細胞が形成される様子を観察した。
 Tiago GonçalvesとGageは、数週間にわたり、毎日ニューロンの成長を見守った。動物が多くの刺激がある環境、回し車、プラスチックチューブ、ドームなどがある環境に入れられていると新しい細胞がすぐに成長し、周囲のニューロンからの電気信号を受け取る、樹状突起という数10のブランチが出てくる。何もないケースに入れられていると、新しいニューロンの成長はわずかに遅くなり、平均すると樹状突起の成長は少ない。しかし、いずれの場合でも、新しい細胞の樹状突起は切り戻しが始まった。
 Tiago Gonçalvesによると、最初に成長が速くて大きくなった細胞は最終的に他の細胞と同じになるように切り戻された。研究グループは次に、シグナル経路の変化は複雑な環境の影響にある程度似てくること、つまり細胞は初期にはよく成長するが、早期に切り戻されることを示した。
 脳が必要以上の樹状突起の成長にエネルギーを使う理由は何か。研究グループは、ニューロンがより多くの樹状突起でスタートするほど、適切なブランチを正確に切り戻す柔軟性が高くなると推定している。
 「結果が示唆していることは、これらのニューロンの樹状突起ツリーを維持する大きな生物学的圧力があるということである」とGageは言う。
 ニューロンの樹状突起における欠陥は、分裂病、アルツハイマ、癲癇、自閉症を含む多くの脳障害につながっている。脳がこのようなブランチをどのように形作るかを図示することは、胚発育中および成人期の両方で、精神的健康を理解するカギになるかもしれない。
 Gonçalvesは、「これは、再生医療に大きな影響を与える。脳のこの領域の細胞を新しい幹細胞で置き換えることができれば、幹細胞は同じように成長するのか。それはまだわからない」とコメントしている。