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光活性化ナノスケール熱交換で高効率エネルギー生成

April, 7, 2016, New York--コロンビア工科、コーネル、スタンフォードの研究チームによると、2つの物体をナノスケールの距離に接近させるだけで、触れることなしに熱伝達を100倍強化できることが実証された。
 研究チームは、特注の超高精度マイクロメカニカル(MEMS)変位制御装置を用いて、2つの並列物体間で、今日までに報告されている最大マグニチュードで光を使う熱伝達を達成した。
 「40nmの間隔で、古典的な予測と比べて、ほぼ100倍の熱伝達強化を達成した。これで光は、物体間の有力な熱伝達メカニズムになる。普通なら物体間の熱交換は伝導か対流によるものだ。また、別のチームが以前に光を使ってナノスケールで熱伝達を実証したが、エネルギー応用に使えるようなパフォーマンスを達成したのはわれわれが初めてだ。例えば、太陽電池を使って熱を直接電気に変換するようなアプリケーションだ」と応用物理学教授、Michal Lipsonはコメントしている。
 われわれの環境に存在するすべてのものは、光を使って周辺物と熱交換している。太陽から来る光、トースタオブン内の加熱素子からの赤熱の赤い色、あるいは真っ暗闇でも画像を記録できる「暗視」カメラ。しかし光を使う熱交換は通常、伝導あるいは対流に比べると非常に弱い。放射熱はナノスケールの距離で移動するが、理論化されているとは言え、取り分け難しい。伝導のような他の熱伝達メカニズムを回避しながらナノスケールの距離で大きな熱勾配を維持することが難しいからだ。
 Lipsonの研究チームは、温度の異なる物体を、100nm以下の距離で相互に近接させることができた。平行なSiCナノビーム間で近接場放射伝達をサブ波長領域深くで実証することができた。研究チームは、高精度MEMSを使ってビーム間の距離をコントロールし、高引張応力下でナノビームの機械的安定性を利用して熱座屈効果を最小化した。こうして大きな熱勾配でもナノメートルスケールの分離を制御した。
 こうしたアプローチを利用して研究チームは、温度が異なる2つの平行物を、触れることなく42nmの距離に保った。この場合、物体間の熱伝達は従来の熱放射法則(例えば黒体放射)で予測されていたよりも100倍程度強かった。この実験は、温度差が260℃の2つの物体間で繰り返すことができた。そのような高い温度差はエネルギー変換アプリケーションでは特に重要である。このような場合、変換効率が、関連するホット物体とコールド物体との温度差に常に比例するからである。
 論文の共著者、St-Gelais、Linxiao Zhuによると、チームのアプローチは、複数のナノビームを配列し、MEMSアクチュエータを使ってその面外変位を個別にコントロールするだけで、もっと大きな有効面積に拡大することができる、例えば太陽電池。研究チームは、超高精度変位コントロールに同じアプローチを適用することを考えている。今度は、実際の太陽電池で熱から直接電気を生成することが目的になっている。
 「この非常に強力な、非接触熱伝達チャネルは、触れることができないようなデリケートなナノデバイスの温度制御用に使える。あるいは、熱い物体からの大量の熱を極度に接近した太陽電池に放射することで非常に効率よく熱を電気に変換する目的にも使える。「熱い物体から光の形式で大量の熱を太陽電池に照射できるなら、潜在的に熱を電力に直接変換するコンパクトなモジュールが作れる。このようなモジュールは、例えば、車の内部に使用して燃焼エンジンからの排熱を有用な電力に戻すことができる。また、家庭ではバイオ燃料や蓄積された太陽エネルギーなど、代替エネルギー源からの電気生成にも使える」とLipsonは付け加えている。