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量子物理学で安全なワンショットコンピュータメモリが可能に

January, 20, 2014, Gaithersburg--NISTのコンピュータサイエンティスト、Yi-Kai Liu氏は、内容を1回しか読み出すことができない「ワンショット」メモリユニットを実現する安全なデバイスを実現する方法を考案した。
この研究は、量子物理学の法則によってそのようなメモリデバイスがいかにして実現できるかを理論的に示す。ワンショットメモリには高額の電子送金を保護するなど、幅広いアプリケーションがある。ワンショットメモリは2つの認証コード持つことができ、振替のキャンセルに備えて、1つは受け取り側の銀行口座に記入するもの、もう1つは送り手の銀行口座に記入するものである。重要な点は、そのメモリは1度しか読み出せないことである。したがって、コードの一方しか読み出せないので、2つのうちの1つしか実行できない、両方はできない。
「敵が、たとえば盗んだ携帯電話など、機器を物理的にコントロールできるときに、ソフトウエアによる保護だけでは十分ではない。安全性を確保するには、不正防止ができるハードウエアを使う必要がある。さらに、重要システムを保護するには、依然として不正侵入の可能性がある複雑な防御に頼りすぎることはよくない。攻撃不可能な、基本的な自然法則に頼ることができれば、その方がよい」とLiu氏はコメントしている。
現状では、不正防止チップ構築の問題に根本的な解はない、少なくとも古典的な物理学だけではできない。したがって研究者たちは量子力学も取り込もうとしてきた。というのは、量子系にエンコードする情報は古典系とは振る舞いが異なっているからである。
Liu氏は、量子ビット(qubit)を用いてデータを蓄積するアプローチを研究している。これは磁気スピンのような量子の特徴を用いてデジタル情報を表す。「共役コーディング」と言う技術を用いること、別々の認証コードのような、2つの秘密のメッセージを同じ量子ビットにエンコードすることができる。これはユーザが2つのメッセージのいずれか1つを取り出すことができるようにするためである。しかし量子ビットは1度しか読み出せないため、ユーザは両方を取り出すことはできない。
このアプローチのリスクは、とらえがたい量子現象、「エンタングルメント」からきている。エンタングルメントでは、2つの粒子が、遠く離れていても相互に影響を与えることができる。もし敵がエンタングルメントを使うことができると、同時に両方のメッセージを取り出し、その系の安全性を破壊することができる。
しかしLiu氏は、ある種の物理系では、エンタングルメントを作ることも使うことも困難であることに気づき、この障害が利点になりうることを論文で示した。これを数学的証明で示している。したがって適切な物理系を使用すれば、共役コーディング法は安全である。
「エンタングルメント、それがないことがこの方法を実現する要になる。実用的な視点では、このような量子デバイスは実現しようとすれば一段と高価になるが、セキュリティレベルも向上する。当面、これはまだ基礎研究であるが、これまで大きな進捗があったので、この技術が実世界で有益な技術につながることについては楽観視している」とLiu氏は話している。
(詳細は、 www.nist.gov)