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量子情報通信のための、単一光子の波長変換に関する新手法を構築

April, 1, 2016, 東京--日本電信電話(NTT」)は、量子情報通信に必要不可欠な技術である単一光子の波長変換に関する新手法を提案し実証した。同手法により、単一光子の波長やスペクトル形状を無損失に制御することが可能になる。光ファイバ中で実現可能なこの手法は、既存の通信設備との親和性を有し、高度な量子情報ネットワークの実現に向けた光子波長インタフェースの構築に寄与する。
 NTTは、従来法と異なるアプローチにより、常に光子損失を伴わない波長変換方法を構築した。相互位相変調と呼ばれる光学効果を用いる。これは、媒質に制御光を入力した際に生じる媒質の屈折率変化により、同一媒質に同時に存在する別の光波(信号光)の位相がシフトする現象。ここで、屈折率を時間とともに変動させると、信号光の位相の不均一なシフトが生じ、その結果信号光の波長の変化を誘起することができる。相互位相変調は、制御光強度の大小にかかわらず必ず生じる現象のため、信号光として単一光子を用いることで、光子損失を伴うことなくその波長を変換することができる。
 相互位相変調による波長変換は、古典的な光パルスを用いて広く実証されているが、単一光子に適用された例はなかった。今回、屈折率変化を担う媒質としてフォトニック結晶ファイバ(PCF)と呼ばれる特殊設計された光ファイバを用いることで、光通信波長帯の単一光子波束に対して明瞭な波長変換を付与することに成功した。今回得られた波長変化量は最大約3nm(光周波数にして約0.4THz)。これは例えば、ファイバ通信路中の互いに異なる波長チャネルに割り当てられた光子の波長を揃え、のちに相互作用させるといった、長距離量子通信の波長多重化に応用可能な量。ここでの波長変換量は、制御光強度の調整により簡単に操作可能。さらに、変換に伴う光子損失は実験的に観測されなかった。これにより光子損失による量子通信レートの低下を抑えながら波長変換を行うことが可能となる。
(詳細は、www.ntt.co.jp)