March, 30, 2016, 東京--住友電工は、長距離大容量伝送用途に適した新型の結合型マルチコア光ファイバを開発し、空間分割多重用光ファイバにおける伝送損失と空間モード分散の世界記録を更新した。
スマートフォンなどの急速な普及やデータセンタの発達によって、長距離伝送系の通信トラフィックは増大し続けており、伝送損失の低いシングルモードファイバ(SMF)を用いた伝送容量の拡大が図られている。一方で、さらに大幅な容量の拡大を実現するために、1本の光ファイバの中に複数のコアを内蔵するマルチコアファイバ(MCF)などを用いて信号を伝送する空間分割多重(SDM)技術の研究が盛んに行われており、大容量伝送システムを実現する次世代光ファイバとして期待されている。
住友電工は、純石英コアを4つ内蔵する結合型MCFを開発し、SDM用光ファイバにおける世界記録を更新する伝送損失 0.158dB/km(波長1550nm)及び空間モード分散 6.1 ps/√km(波長1550nm付近)を実現した。
伝送損失が実用化されている極低損失な光ファイバと同程度に低いことと、空間モード分散を従来のSDM用光ファイバの5分の1程度まで低減したことで、伝送容量を従来ファイバの4倍程度まで増大させることが期待される。さらに、今回開発した光ファイバは、現在標準的に広く用いられている125µmのクラッド径を有することから、既存設計の光ファイバケーブルに適用することができ、また、汎用光ファイバ*2同等の高い信頼性が期待される。
住友電工は今後、今回の開発を含め様々なMCFについて、より実使用状態に近い環境下での性能評価や量産技術開発など、引き続き研究開発を続けていく。
上の成果は、Optical Fiber Communication Conference (OFC) 2016で、PDPとして採択され、発表した。