March, 10, 2016, Buffalo--グラフェンは大きな期待が寄せられている物質で、2004年に発見された。人の髪の毛よりも100万倍細く、スチールよりも300倍強く、熱と電気の伝導性は最もよく知られている。このような性質は、特に、コンピュータを高速化し、バッテリを一段と強力にし、太陽パネルの効率を高める。
しかしグラフェンを2D形状の範囲を超えて操作することは難しい。
先ごろ、ゲル状の物質、グラフェン酸化物懸濁液を凍結モールドに注入して、3D物体を作製した例が報告されている。そのプロセスは有効であるが、商用アプリケーションでは限界がある単純な構造でしか機能しない。
もう1つのオプションは3Dプリンタの利用。このシナリオでは、研究チームは一般にグラフェンとポリマ、あるいは他の増粘剤を混ぜる。これにより構造がばらばらになることを防げる。しかしポリマが熱加工で取り除かれる際に、その繊細な構造に損傷を与える。
バッファロー大学、カンザス州立大学、中国のハルピン工業大学の研究チームは、そのような問題を解決した。
Small誌に発表された研究成果によると、研究チームは、改良3Dプリンタと凍結水を使い、グラフェン酸化物を用いて格子形状のキューブと3Dの三角構造を作製した。その構造は、エレクトロニクス、医療診断デバイス、その他の産業でグラフェンを商業的に実現可能にするための重要なステップになる。
「グラフェンは非常に扱いにくいが、われわれが作製した構造は、その形状を3Dで制御できることを示している」とUBの工学・応用科学学部准教授、Chi Zhouはコメントしている。
実験では、研究チームはグラフェン酸化物と水を混ぜた。次に、-25℃の表面に格子骨格をプリントした。グラフェンは、構造支柱となる氷の間に挟まれている。
プロセスが完了すると、格子は液体窒素に浸され、これによって強力な水素結合さえも形成される。格子は次に、凍結乾燥機にかけられ、そこで氷は気体となり除去される。最終結果は、グラフェンエーロゲルでできた複合3D構造となり、室温でその形状を保つことができる。
「グラフェンを寒冷環境に留めることによって、設計通りの形状を確実に保持できる。これは、グラフェンを商業的に実現可能な材料にするための重要な一歩である」とカンザス州立大学准教授、Dong Linは話している。