March, 9, 2016, Washington--ZTEの研究チームは、2km SMFインタコネクトで最大容量の信号伝送を実験的に実証した。
インターネットやデータセンターのサーバ間データトラフィック量は、過去数十年で爆発的に増加し、減速する兆しが見られない。例えば、中小規模ネットワークで使用されるEthernet技術は、最初の2.94Mbpsから100Gb/sに、つまり3000倍以上に拡大した。IEEE 400Gb/s Ethernetタスクフォースは、400Gb/sまでを標準化するために設立されたが、これでさえも特にデータヘビーな企業では十分と言えないかもしれない。
現在、ZTE USAの研究チームは、あるタイプの光ファイバリンクで新たな容量記録を達成した。このリンクは、インターネットのセグメント接続、データセンターのサーバ接続に使える。チームは、SMF 2kmで560Gb/sを伝送した。研究チームのソリューションはローコスト、ローパワー光ソリューションであり、デジタルデータを光のようなアナログキャリアにエンコードするために使われる独自の変調技術の組み合わせに依存している。
従来の同軸ケーブルや銅線とは違い、光ケーブルでデータを伝送すると、データ密度は著しく高くでき、伝送距離も長くなる。さらに、光リンクは電磁干渉の影響を受けず、消費電力が少ない。このことは、データセンターが発展し続けるためには、ますます重要になる。しかし、増え続ける帯域ハングリーなアプリケーションの要求に応えるには、光信号にデータをエンコードする標準は進化しなければならない。
「現行の光ネットワークでは、変調フォーマットはまだOOK(On-off Keying)である。これでは、デバイスの帯域が制限されることから、100Gb/sあるいはそれ以上の伝送を光インタコネクションで実現するのは不可能である」とZTE USAサイエンティスト、論文の筆頭著者Fan Li氏は説明している。OOKは、最もシンプルな振幅変調であり、信号のある(バイナリ1)、なし(バイナリ0)としてデジタルデータを表す。
研究チームは、もっと高いレベルのブロードバンドマルチキャリア変調法、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)を採用する。このスキームでは、マルチデータストリームを、光ファイバケーブルのような一般的なブロードバンド媒体で伝送し、旧来のシングルキャリア変調法に対して、所定の帯域で一段と高い容量、高速伝送など、優れたパフォーマンスを提供する。
「400Gb/sは、光インタコネクションの次世代伝送速度である。OFDM技術で560Gb/s信号伝送を実現したのは我々が初めてである」とLi氏は語っている。
ZTE USA、Jianjun Yuディレクターの説明によると、OFDM変調法は超高周波やマイクロ波バンドにおける今日の高速データ要求と運用に適しているので、ほぼすべての新しいワイヤレス技術で採用されている。しかし、OFDMは欠点として大きなPAPR(peak-to-average power ratio:ピーク対平均電力比)、OFDM信号の瞬間的なピークパワーが平均パワーよりも著しき大きい、これは多重データストリーム、サブキャリアのコヒレント加算によるものである。この特性は、高周波では、インタコネクトパワー減衰によってネットワークパフォーマンスの低下になる。
そのインターコネクトパフォーマンスを改善するために、研究チームはDFT-spread(Discrete Fourier Transform-spread) OFDMというOFDMの特殊ケースを採用した。これはプリ等価というキャリブレーション段階で実行されている技術であり、これによって高周波ドメインにおけるパワー減衰の克服、OFDMのPAPR抑制を同時に行う。
実験構成のもう1つの重要部分は、4-ch CWDMスキーム。これにより、インタコネクションの光信号でローコスト、ローパワー、大容量伝送を効果的に実現できる。
128-QAM OFDM、電気信号の高次OFDM変調フォーマットと4-ch CWDMを併用して、同じ帯域で最高のデータ伝送容量を達成した。各チャネルは、140Gb/s 128-QAM OFDM信号を伝送し、4-chトータルで560Gb/sとなる。