March, 2, 2016, Raleigh--ノースカロライナ州立大学とデラウエア大学の研究グループは、より少ないデータを使ってハイパースペクトラルイメージを迅速かつ正確に再構築するアルゴリズムを開発した。
画像は、ハイパースペクトル情報を簡潔に取得する装置を使って作成する。また、アルゴリズムとハードウエアの組み合わせにより、ハイパースペクトルイメージ取得の時間短縮が可能であり、少ないメモリーでその画像を蓄積することもできる。
ハイパースペクトルイメージングは、セキュリティや防衛から環境モニタリングや農業までの分野で利用が有望視されている。
デジタルフォトグラフィのような 従来のイメージング技術は、3波長の光(RGB)だけで画像を取得する。ハイパースペクトラルイメージングは、数10あるいは数100の波長にわたり画像を生成する。このような画像は、材料がどんな状況で撮像されたかを究明するために使うことができる。
しかしその技術にはいくつかの課題がある。
例えば、従来のイメージングシステムでは、画像が3波長で数100万ピクセルあるとすると、画像ファイルは1メガバイトになる。しかしハイパースペクトラルイメージングでは、画像ファイルは少なくとも1桁大きくなる。これにより、データの並べ替えや転送で問題が生ずる。
加えて、数10の波長にわたりハイパースペクトルイメージを取得することは、時間がかかる。一連の画像を撮る従来のイメージング技術では、個々の異なる波長ごとに画像を取得し、それらを結合することになる。
数年前、研究者たちは新しいハイパースペクトラルイメージングハードウエアを開発した。これは、必要な画像をより迅速に取得し、それらを大幅に少ないメモリで蓄積することができる。そのハードウエアは「圧縮測定」を利用する。これは、後で完全なハイパースペクトル画像を再構成するために使えるフォーマットで空間と波長を混在させている。
しかし新しいハードウエアが効果的に機能するには、画像を正確かつ迅速に再構成するアルゴリズムが必要になる。それが、NC州立大とデルウエア大学の研究チームが開発したものである。
モデル試験では、その新しいアルゴリズムは、すべての周波数で既存のアルゴリズムを大幅に凌駕した。
NC州立大学電気・コンピュータ工学准教授、Dror Baronは「われわれは、100秒の計算速度で画像品質を再構成できた。他のアルゴリズムでは、450秒でも対抗できない。われわれは、その計算速度をさらに縮めることができると考えている」とコメントしている。
画像再構成の品質を高くすることは、ハードウエアがもっと少ない計測を行って処理し、イメージング時間を高速化する必要がある。また、計測を少なくするとは、蓄積し転送するのに必要なデータが少なくなることを意味する。
「われわれの次のステップは、実世界システムでそのアルゴリズムを走らせ、アルゴリズムがどのように機能し、改善の可能性を見定めることである。われわれは、相互に生かし合うことがでできるように、アルゴリズムとハードウエアの両方をどのように変更できるかも考察している」とBaron氏は話している。