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プラズモン干渉計でコンパクトな生物/環境センサを実現

February, 26, 2016, Providence--プラズモン干渉法という技術は、様々なアプリケーションで使える、コンパクトで超高感度なバイオセンサを実現する可能性がある。ブラウン大学(Brown University)の研究チームによる基本的な前進は、そのようなデバイスを一層実用的にするのに役立つ。
 ナノテクノロジーとプラズモニクスを組み合わせたナノスケールプラズモン干渉計は、ハンドヘルドの環境センサ実現に有望視されている。
 ブラウン大学工学部の研究チームは、そのようなデバイスをより実用的にする重要な基礎的進歩を達成した。研究チームは、通常必要とされている、コヒレント光を発する特別な外部光源を不要にする技術を開発した。この進歩により、一層多様でコンパクトなデバイスが実現可能になる。
 プラズモン干渉計は、光と表面プラズモン ポラリトンの相互作用を利用する。ポラリトンは、光エネルギーが金属の自由電子を動かすときに生ずる密度波。干渉計の1つは、薄い金属層にエッチングされた標的構造に見える。中央には直径300nm程度の金属層を貫いた穴がある。穴の周囲には直径数µmの多数の溝がエッチングされている。この数千の標的は、爪サイズのチップに設置できる。
 外部光源からの光が干渉計の表面に照射されると、一部のフォトンが中央の穴を通り抜けるが、他のフォトンは溝によって散乱される。その散乱フォトンが表面プラズモンを生成する。表面プラズモンは金属内を穴の方向に伝搬する。穴ではプラズモンは、穴を通ってきたフォトンと相互作用する。これにより穴から放射された光に干渉縞ができ、これは金属表面下のディテクタによって記録することができる。
 液体を干渉計の上に堆積させると、光と表面プラズモンはその液体を透過して伝搬し、相互干渉する。これにより、液体の化学成分に依存して、ディテクタが検出する干渉縞が変わる。穴の周囲の異なるサイズの溝リングを利用することで、干渉計は特定の成分、分子のシグネイチャを検出するように調整できる。1つのチップ上に多数の違ったチューニングの干渉計を搭載することができるので、仮定的には、エンジニアは多様なディテクタを作ることが可能になる。
 今日まで、すべてのプラズモン干渉計はコヒレント光を発する特別な外部光源を必要とした。コヒレント光なしでは、干渉計は有効な干渉縞を生成できない。しかし、その種の光源は大きく、高価であり、アライメントに注意が必要であり、信頼できる光応答を得るには定期的な再較正が必要。
 ブラウン大学工学部教授、Domenico Pacificiのグループは外部光源を不要とする方法を開発した。新しい方法では、蛍光発光原子が干渉計中央の小さな穴に直接組み込まれている。外部光源はは、内部のエミッタを励起するためにまだ必要であるが、特別なコヒレント光源の必要性はない。
 この新しいデバイスでは、干渉計のインコヒレントな光によって中央の穴の蛍光原子が表面プラズモンを生成する。そのプラズモンは穴から外に伝搬し、溝のリングで跳ね返り、伝搬して穴に戻ってくる。プラズモンが伝搬して戻ってくるとそれは、それを放出した原子と干渉する。フォトンの放出とプラズモンの生成は同じエミッタから出る区別できない代替パスであるので、そのプロセスは当然コヒレントであり、したがって、たとえエミッタがインコヒレントに励起されても干渉が起こる。
 Pacificiは、「ここで重要な点は、これが自己干渉プロセスであることだ。エミッタの励起にインコヒレント光を用いていることは問題ではない、それでもコヒレントなプロセスが得られる」とコメントしている。
 特殊な外部光源が不要になることに加えて、このアプローチにはいくつかの利点がある。表面プラズモンは穴から出て戻ってくるので、同じ干渉計表面で二度プローブすることになり、感度は二倍になる。
 新しいデバイスでは、外部光源は干渉計を含む金属表面下から照射できる、上からではないので、センシング面上に複雑な照射構造が不要になる。すなわち、コンパクトなデバイスへの組み込みが一層簡単になる。
 内蔵光エミッタにより、干渉計表面に堆積されたサンプル液体量の制御は不要になる。液体の量が多いとレンズ効果が生ずる、つまり光が曲がる。これは干渉計からの結果を変える。ほとんどのプラズモンセンサは、液体の薄膜実現に微小なマイクロ流体チャネルを使い、レンズ問題を回避している。しかし、裏面から内部の光エミッタを照射することで、外部光はサンプルと接触することはなく、レンズ効果はなくなり、マイクロ流体も同様に不要になる。
 最後に、内部エミッタは低強度光を作り出す。これはタンパク質のようなデリケートなサンプルのブロービングには適している。高強度光はサンプルに損傷を与えるからである。
 このシステムを実験室から出してデバイスにするにはさらなる研究が必要である。次のステップは、外部光源も不要にすること。微小な光ファイバ線もしくは電流を使って内部エミッタを励起することは可能である、と研究チームは、考えている。