February, 12, 2016, Washington--セントラルフロリダ大学のShin-Tson Wu教授のグループ、中国西安の西安近代化学研究所(Xi’an Modern Chemistry Research Institute)、日本のDIC Corporationは先頃、新しい混合液晶(LC)を開発した。これは、動作温度の上と下で従来の物理的限界を克服するものである。
Wu教授によると、LCは透明点が100℃以上、融点が-40℃以下でなければならない。この範囲を超えると、LCは凍結したり等方性により機能しなくなる。
LCをそのような広い温度範囲で動作するようにするために、研究者たちは数多くの3環性化合物および4環性化合物と低分子量化合物とを混合させた。この混合タイプは、共有系と考えられている。透明点を強化することに加えて、そのような混合は低粘弾性係数および活性化エネルギーを示す。このような特徴は、低温でLCの低粘性を維持する上で重要な役割をになう、LCディスプレイ機器の反応時間は主に粘弾性係数とLC層の厚さで制御されているからである。
論文にみられるように、現在の欧州自動車基準の仕様では、ピクセルが1つの輝度から別の輝度に変わる応答時間は-20℃で200ms、-30℃で300msとなっている。これは、画像のブレを回避するのに十分とは言えない。Wuのチームが報告した応答時間は、10µs程度であり、欧州仕様よりも約20倍高速である。加えて、このような混合により、高温でフィールドシーケンシャルカラーディスプレイを可能とする。これにより解像度密度やディスプレイ輝度は3倍増となる。このようなアプローチは、日中のヘッドアップ―ディスプレイ(HUD)の環境コントラスト比を改善する。
今後の研究には、バックミラーに組み込める極薄液晶ディスプレイの開発が含まれる。これによってドライバーの盲点をなくすことができる。また、厳しい太陽光の中であらゆるタイプの自動車ディスプレイの読み取りやすさも向上する。