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ナノ粒子を利用した太陽熱による高効率な水の加熱に成功

January, 27, 2016, つくば--NIMS MANAの研究チームは、遷移金属窒化物や炭化物のナノ粒子が、太陽光吸収効率が高いことを数値計算で明らかにし、実際に窒化物のナノ粒子を水に分散させた実験で水温上昇速度などが速いことを確認した。
 物質・材料研究機構 (NIMS) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 (MANA) ナノシステム光学グループの石井智MANA研究者、長尾忠昭グループリーダーらの研究チームは、遷移金属窒化物や炭化物のナノ粒子が、太陽光吸収効率が高いことを数値計算で明らかにし、実際に窒化物のナノ粒子を水に分散させた実験で水温上昇速度などが速いことを確認した。今後これらのナノ粒子は、太陽光を利用した水の加熱・蒸留などへの応用が期待される。
 研究チームは、NIMS環境・エネルギー材料部門 環境再生材料ユニット 触媒機能材料グループの梅澤 直人主任研究員らと共同で第一原理計算を行い、太陽光の光熱変換に適したナノ粒子材料の探索及び物性値の予測を行った。その結果、セラミックスである遷移金属窒化物と遷移金属炭化物の太陽光吸収効率が高いことを明らかにした。さらに、遷移金属窒化物の中でも窒化チタンに注目し、窒化チタンナノ粒子を水に分散させて太陽光を照射し、9割に近い高効率で光を熱に変換することを実験的に確認した。窒化チタンのナノ粒子は広帯域なプラズモン共鳴を示すため、ナノ粒子1個当たりの太陽光吸収効率では金や炭素のナノ粒子よりも高い性能を示すと考えられる。今後、この成果を床暖房や給湯および汚水や海水の蒸留などに応用することが検討されている。研究チームは、これら以外のナノ粒子の応用として、高分子とナノ粒子とのハイブリット材料の開発や、ナノ粒子を介した化学反応の促進などにも取り組んでいる。
(詳細は、www.jst.go.jp)