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新しいフォトン検出材料により量子情報増加

January, 26, 2016, Gaithersburg--個々の光粒子検出が少し正確になった、正確には74ps。これはNIST研究者たちによる超電導ナノワイヤの作製で達成した材料の進化によるものである。
 74ps(ピコ秒)は、フォトンが貴重な情報を運ぶ量子の世界では大きな成果である。この場合、「ジッタ」つまりフォトンの到着時間の不確実性が非常に少ないことを意味する。ジッタが少ないとは、フォトン間の距離が一段と接近するが、それでも正確に検出できることを意味する。したがって、より高いビットレートで通信でき、同じ時間に伝送できる情報量が増える。
 弱い信号を確実に受信しようとするとき、すべての小さなビットが役立つ。例えば、NISTの量子テレポーテーション記録、物理理論の難しいテストなどが最近の役だった例である。そのような実験では、研究者は数十億のフォトンの量子的特性から可能な限り多くの情報をデコードしたい、「エンタングル」フォトンがリンクしている特性が計測前か、あるいは後かどうかを判断したい。
 NISTは、フォトン検出器の設計で多くの進歩を達成した。最新の成果では、NISTは電子ビームを使ってナノワイヤを耐熱セラミック超伝導、モリブデンシリサイドの薄膜に書き込んだ。シングルフォトンが当たって生ずる小さなエネルギー上昇によってナノワイヤは一時的に超伝導能力を失い、通常の導体となり、イベントを伝えることができる。
 ナノワイヤディテクタは超高速であり、一秒間に数千万のフォトンをカウントし、ダークカウント(誤り)はほとんど生じない。
 ナノワイヤ検出器は、元は効率が悪く、カウントすべきフォトンを逃していたが、NISTがその特性を微調整した。効率を高め、今ではジッタが減っている。
 新設計は、NISTの2011タングステン-シリコン合金材料を改善したものである。その材料の動作が、(まだ極低温ではあるが)より高い温度で、またより高電流で可能となったからである。高温では冷却が簡素になる。高電流によりジッタは、約150psから76psに低減する。NISTの研究チームは、チップをゴールドミラーと他の非反応性材料層でできたキャビティに埋め込むことで、ディテクタの光吸収と効率を高めた。
 研究チームは、通信で使用される波長でディテクタの効率87%を実証した。これはタングステン-シリコンのデバイス(93%)とほぼ同等であるが、ジッタは遥かに低い。
 モリブデン-シリサイド材料によってNISTは、競争が激しい量子情報科学分野に貢献している。高精度の次世代センサの開発はNISTの最優先事項である。NISTのシングルフォトンディテクタは世界中の様々な実験で使用される。