January, 26, 2016, Golden--NREL(国立再生可能エネルギー研究所)の研究チームによると、シリコン太陽電池の効率は、特異的欠陥によって改良できる。
NRELのシリコンPVグループプロジェクトリーダー、主席研究者、Pauls Stradinsによると、研究成果は定説に反する。
深いレベルの欠陥は、太陽電池の効率を妨げることがよくあるが、NRELの理論研究は適切に設計されたエネルギーレベルの欠陥は電池からのキャリア収集を改善する、つまり吸収層の表面パッシベーションを改善する。研究チームは、太陽電池のシリコンウエファに隣接する層に不純物を加えるシミュレーションを行った。キャリア収集のための「パッシベートされたコンタクト」の一部を形成する薄いトネリング酸化ケイ素(SiO2)層、シリコンセルウエファに隣接するアルミナ(Al2O3)表面パッシベーション層に欠陥を導入した。いずれの場合でも、特異的欠陥は有益であることが確認された。
シミュレーションはNRELのスーパーコンピュータと国立エネルギー研究所科学コンピューティングセンタを利用して行われた。
適切な欠陥を見出すことがそのプロセスにとっては重要。トネリングSiO2層を通してキャリア収集を促進するには、欠陥はエネルギーレベルがシリコンバンドギャップから外れていなければならないが、選択的にフォトキャリアの一方のタイプを収集し、他方をブロックするには、バンドギャップエッジの1つに近くなければならない。それに対して、Al2O3によるSiの表面パッシベーションには、キャリア収取はなく、有益な欠陥はシリコンの価電子帯の下深くにあり、永久負電荷である。シミュレーションは、シリコンウエファに隣接する酸化層から一定の原子を除去し、それらを別の元素の原子に置き換え、これによって「欠陥」を作製した。例えば、酸素原子がフッ素原子に置き換えられると、ホールをブロックしながら電子収集を促進できる欠陥が生まれた。
次に欠陥はエネルギーレベルと荷電状態とによって分類された。どの欠陥が最高の結果を生むかを決定るにはさらなる研究が必要になる。この研究で利用された原理は、、フォトアノードや2D半導体など、他の材料やデバイスに適用可能である。最近の研究では、酸素を加えると、そのような半導体のパフォーマンスが改善されることが分かっている。太陽電池とフォトアノードには、設計された欠陥により、もっと厚い、より堅牢なキャリア選択トネリング輸送層、あるいは製造が容易な防食層が可能になる。