January, 21, 2016, Lausanne--EPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)の研究チームは、競争力のあるパワー変換効率20.2%を達成しながら、PV(太陽発電)コストを削減できる太陽パネル材料を開発した。
現在、最も有望な太陽電池の中には、ペロブスカイトから造った集光フィルを使うものがある。しかしペロブスカイトベースの太陽電池は、高価な「正孔輸送」材料を使用する。その機能は、光がペロブスカイト膜に当たった時に生成される正電荷を移動すること。EPFLの研究チームは、著しく安価な正孔輸送材料を開発した。太陽電池の効率は20%以上に保ちながら、コストは既存材料のわずか1/5になる。
ペロブスカイト膜の品質が向上するにともない、研究者たちは、太陽電池全般の性能を改善する他の方法を探求している。この研究が目標にしているのは、太陽パネルの他の重要要素、正孔輸送層、特にそれを作る材料である。ペロブスカイトベースの太陽電池に使える正孔輸送材料は、現在2つしかない。両タイプとも合成が非常にコストがかかり、太陽電池全体を高価にする。
この問題に対処するために、EPFLのMohammad Nazeeruddin研究チームは、分子的に設計された正孔輸送材料、FDT(dissymmetric fluorene–dithiophene)を開発した。FDTは、効率を競争力のあるレベルに保ちながらコストを下げることができる。テスト結果では、FDTの効率は20.2%で、高価な他の2タイプよりも高効率であった。FDTは簡単に変更できるので、全世代の新しい低コスト正孔輸送材料の青写真となる。
Nazeeruddin氏は、「最高性能のペロブスカイト太陽電池は正孔輸送材料を使用しているが、それは製造、精製が難しく、非常に高価であり、1グラムあたりのコストが300ユーロであることから、普及していない。それに対して、FDTは合成と精製が容易であり、コストは既存材料の1/5になると推定される。また、既存材料の性能に匹敵するか、それを上回るとさえ言われている」とコメントしている。