January, 14, 2016, Albuqueroque--サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)の研究チームによると、1個のチップ上で光と音波を結合する独自のフィルタリング技術が、レーダや通信周波数の検出向上に使える。
高帯域と広い機能柔軟性の双方で有望なRFフィルタが、分光計の基盤となる。これによってユーザは、広範なスペクトル範囲にわたる様々な周波数帯におけるエネルギーを「見る」ことができる。
斬新で超薄型のフィルタ構造は、現在実験室段階にある。レーザ、変調器、ディテクタとバッテリで構成されるシステムのデモンストレーションは、コンピュータのハードドライブよりも若干大きく、重量は数ポンド。わずか3~5年以内に実用になる見込みだ。
そのフィルタは、比較的新しい概念、フォトン/フォノン結合を用いる。この技術によってハイブリッドデバイスがフォトンとして伝搬するRF信号を一時的にフォノンに変換し、動きが遅いその信号を効率的にアナログ操作できるようにする。
このハイブリッドアプローチ、ナノ-オプトメカニカル結合により研究チームは、デモンストレーションでは20GHzであるが簡単に100GHzに拡張できる光の広帯域をフォノンフィルタによって与えられる直線的でシャープな共鳴と結合することができた。このフォトンからフォノンへの変換のエネルギーコストは、高分解能フィルタ応答によって相殺される。「フィルタ応答は、広範な周波数域にわたり信号歪が極めて少ない」と、この研究のリーダー、Charles Reinke氏は説明している。
フォトン-フォノン情報転送の簡単なアナロジーは、糸電話である。2つの缶をストリングで接続し、話者から相手に音が伝搬する。
フォノン結晶の作製には材料の薄膜が必要であり、今回はシリコンナイトライドを使用した。さらに、それにパタンを形成することでその機械的特性を調整する。結果として得られた結晶は、通常は自然界に存在しない、音のような機械的波の伝搬特性を持ち、またその特性は膜の形状とパタンに依存する。
そのフィルタリングシステムには、2つの材料が決め手になる。シリコンナイトライドは音響波が伝搬する膜を形成する、またシリコンは光信号を閉じ込める導波路を形成する。その二重システムが、デバイスの音響特性と光学特性を相互に独立に最適化する。
そのフォトニック-フォノニックデバイスは、オンチップフォトンディテクタやエレクトロニクスの組み込みも可能である。