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光を一方向に通すナノスケール光デバイスを開発

December, 22, 2015, Wien--ウィーン工科大学(TU Wien)の研究チームは、光を一方向に通すナノスケールの光デバイスを開発した。これは、極薄ガラスファイバに結合したアルカリ原子で構成されている。
 TU Wienの研究チームが開発した新しいデバイスは、ファイバを通過する光パルスがわずか数個のフォトンで構成されていても、この一方通行のルールを維持する。そのような光の一方通行は光チップで利用することができ、したがって光信号処理に重要になると考えられている。
 光を一方向に通す素子は、「光アイソレータ」である。TU Wien Atominstitut量子科学・技術ウィーンセンターのArno Rauschenbeutelによると、光アイソレータは以前から存在するが、ほとんどの光アイソレータはファラデー効果に基づくものであり、磁界が光が進む方向を決める。
 原理的に、ファラデー効果を利用するデバイスはナノスケールで作製することはできない。「現在、研究者たちは、電子デバイスに匹敵する光ICを作製しようとしている。この対称性を破る他の方法は、高強度でしか機能しない。しかしナノテクノロジーでは、個別フォトンで構成される微弱光信号でも機能することが究極目標となっている」とRauschenbeutelは説明している。
 研究チームは、全く別のアプローチを選択した。アルカリ原子は、超薄ガラスファイバのライトフィールドに結合されている。ガラスファイバでは、光は前方または後方に伝搬する。しかし考慮すべき光の別の特性がある。光波の振動方向、つまり偏向である。
 光とガラスファイバの相互作用が光の振動状態を変える。偏向はヘリコプタのロータのように回転する。回転感覚は光が前方または後方のいずれに伝搬しているかに依存する。光波の伝搬方向と振動状態は相互に固定される。
 アルカリ原子は右量子状態であり、超薄ガラスファイバの光に結合されているなら、それらを2つの光回転に対して違った反応をさせることができる。「前方に進む光は原子の影響を受けない。しかし後方に進み、したがって逆に回転する光はアルカリ原子と結合し、ガラスファイバから散乱する」とRauschenbeutelは説明している。
 この効果はTU Wienでは、2つの異なる方法で実証された。最初のアプローチでは、約30個の原子をガラスファイバに沿って置き、光を送り込むと約80%の高透過率が1つの伝搬方向で計測されたが、反対方向では10倍少なかった。第2のアプローチでは、1個のルビジウム原子が使用された。この場合、光は一時的に光マイクロプロセッサに蓄積された。光は相対的に長い時間、原子と相互作用ができるようにするためである。このようにして、伝搬に対する同様の制御が達成できた。
 「われわれが1個の原子を使用するとき、プロセス制御は非常にささいなものになる。古典物理学によると、これは不可能だが、量子物理学ではそのような組み合わせは可能だ。これは、量子情報の光処理に斬新な素晴らしい可能性を開くものとなる」と同氏はコメントしている。