December, 10, 2015, Bremerhaven--ウインドファームプラント(風力発電施設)の採算性を見積もるためには、まず見込める風を測定しなければならない。フラウンホーファーの研究チームは、必要なデータを供給する高度な精密計測技術を持つ風計測ブイを開発した。
採算性は風の速度に依存するので、沖合のウインドファームの計画者は、風がどの方向から吹いてくるかを知る必要がある。フラウンホーファー風力エネルギー&エネルギーシステム技術研究所IWESスペシャリスト、Claudia Rudolphの研究チームと気象学者は、特別な風計測ブイを使って、風の見込みと想定されるエネルギー収量を計算し、ウインドファームの計画者に貴重なサポートを提供したいと考えている。このために、研究チームは、LIDAR技術を使う。
フラウンホーファーIWES LiDARブイの設計は、北海で30年以上使用されてきた軽量ブイを基盤にしており、研究チームは、これを風の見込み計測に適用した。長さ8m、直径2.55m、重量4.9t。そのブイに高さ40~200mの間の風の速度を計測するLiDAR計測機器を搭載する。「LiDARシステムが大気中にパルスレーザビームを送り込むと、レーザビームは空気中のエーロゾル粒子から跳ね返ってくる。後方散乱信号の周波数シフトから、風の速度と方向を、対応する計測高さで計算する」とRudolph氏は説明している。
その技術はすでに陸上では使用されているが、以前はブイや浮桟橋の上での計測には適さないとみなされていた。精度が低すぎるという理由だった。ブイ自体の動きが計測値を乱し、LiDAR使用の信頼性を阻む。このような計測が可動機構上で実施できるようにするためにIWES研究チームは、計測値からブイ自体の動きを減算する補正アルゴリズムを開発した。
新しい浮遊LiDARシステムは、固定の沖合風気象マストに匹敵する高い計測精度を保証する。これは北海で行われた評価計測の結論。気象マストからの数値とブイからの数値との相関性は、99.7%だった。
ブイのもう1つの特徴は、LiDAR計測機器を収容してそれを海の海水と極端な環境条件から保護するアルミ筐体。筐体は、レーザビームが妨げられることなく完全に大気中に放出されるように特殊ガラスを実装している。さらに、自律電力供給システムがパッケージを完全にしている。3つの400W風力発電機と70Wソーラパネルが電力を生成し、3つのゲルバッテリがそれを蓄積する。これにより、一週間風や太陽がなくても蓄積したエネルギーの利用が保証される。浮遊プラットフォームの内部には、データ通信用のコンピュータが実装されている。現状と計測データがWLANまたは衛星により受け手に送信される。