December, 2, 2015, Stanford--スタンフォード大学の研究チームは、太陽電池上面の電気配線を入射光に対してほぼ見えなくする方法を開発した。配線を隠すためのシリコンナノピラーを使うこの新しい設計によって、太陽電池の効率は著しく向上する。
ほとんどの太陽電池では、上部接点はデバイスとの間で電気をやり取りする金属ワイヤグリッドで構成されている。しかしこれらのワイヤはミラーのようにも働き、通常、太陽光がシリコンでできた半導体に届くのを阻止している。
スタンフォードの研究チームは、シリコンのフラットシート上に16nm厚の金導電性金属膜を設置した。金膜はナノサイズの角孔のアレイで孔が開けられているが、見た目には、表面は光る金のミラーのように見えた。
光学解析により明らかになったことは、孔をあけた金膜はシリコン表面の65%をカバーし、平均50%の入射光を反射するということである。研究チームは、反射性金膜をどうにかして隠すことができると下のシリコン半導体に届く光はもっと増えると考えている。
解決策は、金膜の上に「立つ」ナノサイズのシリコンピラーを作り、太陽光が金属面に当たる前にその方向を変えることである。
シリコンナノピラーの作製は、1段階の化学プロセスであることが分かった。
論文の共著者、Thomas Hymelによると、シリコンと有孔金膜をいっしょにフッ化水素酸と過酸化水素溶液に沈めると金膜がすぐにシリコン基板の中に沈み始め、シリコンナノピラーが膜の孔から飛び出してくる。
数秒でシリコンナノピラーが330nmの高さに成長し、光る金表面が暗赤色に変わる。この劇的な色変化は、金属がもはや光を反射していないこと明確に示していた。
「シリコンナノピラーが現れ始めるとただちに、金属グリットの周囲、ナノピラーはシリコン基板の下に光を注ぎ込み始めた」とNarashimhanは説明している。
「太陽電池は、一般に上面の5~10%をカバーする金属ワイヤで遮られている。最良のデザインで、約2/3の表面が金属でカバーされたが、反射損失はわずか3%である。そのように多くの金属を使うことで、電池の光から電気への変換効率が極めて効率的になる」。
金の他に、ナノピラーアーキテクチャは、銀、プラチナ、ニッケル、その他の金属でできたコンタクトでも機能する、と共著者Ruby Laiは指摘している。
Laiはさらに、「どんなタイプの金属を使うかは問題ではない。それは、入射光に対してほとんど見えなくなる」と語っている。
シリコンの他に、この新技術は多様なアプリケーションで他の半導体材料にも使える。例えば光センサ、LED、ディスプレイ、透明バッテリなどに使える。