August, 27, 2015, Los Alamos--ロスアラモス国立研究所は、ソーラウインドウを可能にする無色、無毒の量子ドットを開発した。
太陽電池用発光型集光器(LSC)は、エネルギーについての一般的な考え方を打破する新しい太陽光集光技術であり、どんな窓でも日中の電力源に変えてしまう。
「このようなデバイスでは、窓を透過するわずかな光でもガラス窓に散在するナノサイズの粒子(半導体量子ドット)によって吸収され、人の目には見えない赤外光で再放射され、窓際の太陽電池に導波される」とエネルギー省(DOE)のプロジェクトリーダー、Victor Klimov氏は説明している。「このデザインを使用することで、ほぼ透明な窓が発電機になり、暑い日には部屋のエアコンに、寒い日にはヒーターに電力を供給する」。
これは、新しいデバイス、量子ドットLSCsによって可能になる。
2014年4月、特殊組成量子ドットを用いて、米国-イタリア共同で、ナノ粒子による導波光の再吸収損失がない、初の大面積発光型ソーラ集光器のデモンストレーションが行われた。これは初期の技術に対して、根本的な進歩である。初期の技術は有機エミッタをベースにしたもので、わずか数センチメートルの集光器しか実現できなかった。
とは言え、以前の概念実証デバイスは、毒性の強いカドミウムをベースにしており、太陽光の一部しか吸収できなかったため、まだ実用レベルではなかった。
アップデートアプローチについてCASPディレクタ、Klimov氏は、「新しいデバイスは、銅、インジウム、セレン、硫黄(CISeS)を含む複合組成の量子ドットを利用する。重要な点は、これらの粒子が有毒金属を含まないことである」と説明している。
同氏は、「CISeS量子ドットは、太陽光スペクトルを一様にカバーしており、したがって窓にはわずかに目立たない色が加わるだけで、色の知覚に収差は存在しない。また、近赤外光放出は人の目には見えないが、同時に最も一般的なシリコンベースの太陽電池に最適である」とコメントしている。
以前のロスアラモスCASPポスドクフェロー、現在量子ドット実業家(UbiQD創始者/社長)、Hunter McDaniel氏は、「CISeSで構成される新しいローコストで、危険性が低い量子ドットにより、この技術の商用展開の最大障害の一部を克服した」と話している。
McDaniel氏によると、取り組むべき問題の1つはコスト削減であるが、以前のLSCデモで使用された代替量子ドットに比べると、新しい材料は製造コストが遙かに低い。
この成果の重要な点は、高い光品質のポリマウインドウ製造に用いられるセルキャスティング工法に匹敵する手順である。量子ドットを高い光学品質のポリママトリクスに封入するにはUNIMIB(University of Milan-Bicocca)の新手順が必要になる。この研究で使用されたポリマは、アクリレート重合体(ポリマ)属に属する架橋ポリメタクリル酸ラウリルである。その長い側鎖が量子ドットの凝集を防ぎ、量子ドットに「フレンドリ」な局所環境を提供する、つまり元のコロイド懸濁液と同様の環境になる。これにより、ポリマに封入すると量子ドットの光放出特性が維持される。
(詳細は、www.lanl.gov)