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低コストのサーマルイメージングレンズ

March, 6, 2026, Washington--サーマルイメージングカメラはこれまで以上に消費者向けの応用が増えている。しかし、そのようなカメラは高価で修理不可能な半導体やカルコゲナイドガラスのレンズに依存している。

ところで、オーストラリアの大学の研究者たちは、安価な熱イメージングレンズを作るために硫黄系有機ポリマを合成する方法を考案した(Nat. Commun., doi: 10.1038/s41467-026-68889-0)。新しいレンズ素材に含まれる硫黄は石油精製の副産物であり、メーカーが容易に入手可能である。また、レンズポリマは他のプラスチック素材のように成形でき、手間のかかる研磨工程を経る必要はない。

困難なプロセス
他の研究チームはこの硫黄系ポリマの存在を仮定していたが、従来の材料製造方法は多くの不要な化合物の混合を生じさせる副反応のためうまくいかなかったと、Flinders Universityの研究者Justin M. Chalkerは話している。混入された副産物により、化合物は赤外線を過剰に吸収し、レンズとしては役に立たなかった。Chalkerらによると、多くの他の硫黄系ポリマは、多くのレンズ用途に必要な長波長赤外線(LWIR、8-15µm)透過率が低いとされている。

研究チームが「ポリマ1」と名付けた新材料を作るために、研究者たちは溶融硫黄に溶ける前駆体モノマを合成し、それらのモノマを使って最終ポリマを作り出した。このポリマは質量比で81%の硫黄を含んでいる。「硫黄はポリマに高い屈折率(焦点合わせ力に重要)とレンズを通過する赤外線の透明性を与える。ポリマの有機部分は熱的安定性と形状の持続性に不可欠。硫黄だけを使うと、ポリマは安定しない」(Chalker)。

概念実証と次のステップ
概念実証として、Flindersチームは新しい素材でレンズを鋳造・研磨し、中波長赤外線(MWIR、3-8µm)およびLWIR帯での光の透過率を測定した。「この材料が熱画像で有用であるという理論的予測を検証し、このポリマ製造におけるこれまでの課題を克服した」とChalkerは話している。
研究者たちは、レンズを小型試作カメラに追加し、100℃、40℃、および常温(室温)で静止写真およびビデオイメージング性能を測定した。

商業的な進展のためには、チームとその将来の業界パートナーがポリマ生産やレンズ成形のためのより大規模なプロセスを考案する必要があるとChalkerは語っている。研究者たちは、防衛、防犯カメラ、自動運転車、消防活動などの応用が期待される、熱画像技術の向上のためにレンズ材料を改良する予定である。