June, 13, 2025, Dresden--FraunhoferIPMSは、空間光変調器用の高度で高性能な評価キットを初めて発表した。これは、アクチュエータタイプとしてチルトミラーまたはピストンミラーを特長としている。空間光変調器の小さなマイクロミラーは、ピクセル単位で光を操作できる。これらは、リソグラフィ、医療技術、天文学、または量子コンピューティングのアプリケーション向けの高精度の光パターンの生成に重要な役割を果たす。
FraunhoferIPMSは、1つの半導体チップ上に数百万個の個別にアナログ制御可能なミラーを備えた空間光変調器を開発している。これらのコンポーネントは、様々なアプリケーション向けの光学的主要要素を形成し、高い汎用性を提供する。アプリケーションに応じて、マイクロミラーを1軸または2軸に沿って傾けたり、水平に下げたりすることができる。これにより、光をその方向、強度、または位相で制御および操作し、正確な光パタンを作成できる。FraunhoferIPMSは、この技術分野のグローバルリーダーである。
高精度で簡素化されたアプリケーション転送
この高度に統合された高速かつ高精度な技術を新しいアプリケーションに移すことを容易にするために、FraunhoferIPMSは、64k(256 x 256)ミラーを備えた評価キットを顧客に提供している。
通常は1軸チルトミラーに基づくシステムが、新しいタイプのアクチュエータとしてピストンミラーを含むように拡張された。評価キットの最初のバージョンへの技術実装が成功したため、顧客はマイクロミラーアレイのポートフォリオの大部分を単一の中央プラットフォームでテストできる。この汎用性の高いソリューションにより、Fraunhofer IPMSは独自のテストプラットフォームを提供している。Fraunhofer IPMSのDr. Michael Wagnerは、「通常、個々のミラーアレイは個々のCMOSバックプレーンに基づいているため、異なるミラー技術には対応するテストシステムも必要になる。われわれのキットにより、ユーザと開発者は中央のプラットフォームで空間光変調器をテストできる」と説明している。
ミラーの種類やシステム設定にもよるが、評価キットは紫外スペクトル範囲から可視スペクトル、近赤外まで対応可能。研究者たちは現在、評価キットの適用範囲を深紫外線範囲に拡大することに取り組んでいる。これは、Fraunhofer IPMSの他のSLMプラットフォームがすでにこの範囲内で使用されているためである。紫外線領域では、細部まで分解できるため、詳細で高精度なイメージングが可能になる。評価キットの高度な制御電子機器は、kHz範囲までの非常に高い変調周波数をさらにサポートする。「通常、マイクロミラーアレイの変調周波数は、チップ自体の特性ではなく、制御設定によって制限される。強力なセットアップは、マイクロミラーの全機能を活用することができる」と科学者Mario Nitzscheは付け加えている。
評価キットは、マイクロミラーのナノメートル精度のキャリブレーションにより高性能を実現し、正確で高解像度のアナログ(準連続)下降または傾斜動作を保証する。完全な評価キットには、制御電子機器、64kマイクロミラーチップ(256 x 256ピクセル)、および適切なソフトウェアが含まれており、統合と最適な運用をサポートする。
産業、医療、天文学向けの高精度光変調
Fraunhofer IPMSの空間光変調器は、様々なアプリケーションで使用されている。顕微鏡では、1軸チルトミラーアレイを使用してサンプルを選択的に照らす。半導体業界、特にマイクロリソグラフィは、深紫外領域の変調器開発におけるFraunhofer IPMSの専門知識の恩恵を受けている。2軸チルトミラーアレイにより、入射レーザ光の正確な再分配を最小限の強度損失で実現でき、材料加工などに有益である。一方、ピストンミラーアレイは、正確な位相変調を実装できるため、3Dホログラフィ画像を生成できる。これらは、実際の3Dヘッドアップディスプレイの有望な主要コンポーネントと見なされている。いわゆる「リアル」3Dディスプレイは、特殊な視覚効果によって奥行き効果を生み出す従来の2D変調とは異なり、3次元空間内に実際のホログラムを生成する。正確な位相変調は、天文学の補償光学、医療技術、量子コンピューティング用の光トラップの生成など、他のアプリケーション分野にも大きな関連性がある。