January, 22, 2025, 京都--島津製作所は、1月14日に走査型プローブ顕微鏡「SPM-9700HT Plus」を国内外で発売した。
新製品は、同社の従来機種と比べて10分の1の時間で局所的な物性情報を取得できる。操作性と効率性を兼ね備えた走査型プローブ顕微鏡(SPM=Scanning Probe Microscope)の汎用モデルとして、ナノ材料の評価・研究に貢献する。
走査型プローブ顕微鏡は、先端が10nm(ナノメートル)程度の探針(プローブ)を試料に近づけて、試料と探針間の力学的・電磁気的な相互作用力を検出しながら走査し、試料表面の三次元形状や物性情報を取得する。原子間力顕微鏡(AFM=Atomic Force Microscope)とも呼ばれる。電子線を使う電子顕微鏡は真空中での観察が必要だが、SPMは大気や溶液中の観察・測定ができる。高分子材料や電池材料、生体などの形状観察や物性評価といった用途で、ナノテクノロジー・ナノサイエンスの研究に必須の手法として利用されている。
新製品は、信号処理速度の向上と制御方法の最適化で、物性画像取得速度の高速化を実現した。従来機種では6時間程度かかっていた物性観察結果のマッピング画像が、専用ソフトウェア「ナノ3DマッピングFast」(オプション)を利用することで30分以下で取得できる。また、観察条件を自動で設定して安定的な画像取得を支援する「NanoAssist」機能をソフトウェアに搭載した。スピーディーに試料を交換できる「ヘッドスライドメカニズム」、消耗品である探針の取り付けが容易な「カンチレバーマスター」(オプション)など操作性を高める機構も備えている。
(詳細は、https://www.shimadzu.co.jp)