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フラウンホーファーIPMS、中赤外域分光計向けにMEMS技術を開発

January, 23, 2015, Dresden--今年のフォトニクスウエスト(Photonics West)展示会で、フラウンホーファーIPMSは、中赤外域(3~12µm)のスペクトル分析用にMEMS技術を用いた新しいアプローチを紹介する。
 この領域には、セキュリティモニタリングで重要な多くの化学物質が存在する。コンパクトな可搬センサシステムを利用すると、様々な危険物質を迅速に検出し定量化することができる。
 環境汚染、工場災害、テロ攻撃など、危険物質の漏洩が原因で、人々の健康や環境を危険にさらす事件の種類は多い。起こりうるリスクの評価とタイムリーな応答には、潜在的に危険な物質の種類と濃度が質的、量的に可能な限り迅速に判定されることが必要になる。分光計は、材料を照射し、それに続いてサンプルの影響による光の強度やスペクトラル成分を分析する目的で設計されている。これが可能になるのは、電磁放射を用いた計測プロセスが非接触手続きであり、多くの多様な固体、液体、気体材料に適用できるからである。これは各分子が固有の赤外スペクトラム「フィンガープリント」を持っていることによる。研究者の課題は、この計測技術を堅牢でコンパクトな設計にすること、また中赤外域の最大波長域をカバーするように設計することである。これによって、最大多数の関連気体、より複雑な分子を特定することができるようになる。
 このような要件を満たすためにフラウンホーファーIPMSと、9カ国からのプロジェクトパートナー17機関が協働して、新しいハンディな中赤外用の可変周波数単色光源を開発している。これはヨーロッパ共同ベンチャー研究プロジェクト「MIRIFISENS」(Mid Infrared Innovative Lasers for Improved Sensor of Hazardous Substances:危険物質改良センサ用途画期的中赤外レーザ)の一環。その場で素早く危険物質の濃度を検出できるハンディな分光計開発のために、この光源が技術基盤となる。システムの中核は、小型の量子カスケードレーザ(QCL)で、これはフラウンホーファー研究所、応用固体物理学IAFの研究チームが開発した。このQCLは、中赤外域の分光「フィンガープリント」にとって重要な波長域を広範にカバーする。QCLの光を所定の波長に設定するためにフラウンホーファーIPMSの研究チームは直径5㎜、関連の制御エレクトロニクスを持つ高反射性回折格子を開発した。マイクロメカニカル回折格子は、QCLの可変周波数外部共振器として機能する。これによって1kHzでレーザ波長のチューニングが可能になる。可変範囲は、中心波長の最大20%まで。
 このようにしてサンプルは異なる波長で時間分割的に照射でき、「フィンガープリント」を用いて危険物質の種類と濃度を引き出すことができる。「静電駆動MEMSグレーティングミラーは、ガルバノスキャナと比べると遙かにコンパクトで、軽量であるのでほとんど音も発せず、非常に高い走査周波数が可能である。小型レーザ光源と組み合わせることで、可搬のハンディセンサシステムへの組み込みに最適である。現場で簡単に計測でき、製造や加工工場で工業用計測技術への組み込みにも適している」とプロジェクトマネージャー、Dr. Jan Grahamannは説明している。