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指先で文字入力など操作可能な指輪型ウェアラブルデバイスを開発

January, 14, 2015, 東京--富士通研究所は、手書き入力機能とNFC(Near Field Communication)タグリーダを備えた小型軽量な指輪型ウェアラブルデバイスを開発した。
  作業現場での現場作業を止めないICT活用のためヘッドマウントディスプレイ(HMD: Head Mounted Display)をはじめとしたウェアラブルデバイスの利用が注目されている。現状のHMDには、表示された「はい」、「いいえ」などの情報の選択や、作業現場で数値入力や現場の状況をメモするなどの付帯作業が容易でないという課題がある。
 富士通研は、空中で手書きをするときの指先の運動成分を抽出し、その軌跡を文字として認識する技術を搭載した指輪型ウェアラブルデバイスを開発した。指先で空中に文字を書くことによりメニューを選択したり、現場で撮影した写真の上にメモを残したりすることが可能になる。この際、手書き文字の軌道を独自の技術で補正することで、文字の認識率を高め、数字や漢字の認識を可能にした。さらにNFCタグリーダを内蔵することで、タグをタッチした際に作業対象物を特定し、作業内容を提示することができる。作業対象物に特化した情報をハンズフリーで容易に選択できるため、保守点検業務など各種作業の効率化が期待できる。

開発した技術の特長
1.空中の手書き文字入力技術
指輪型ウェアラブルデバイスに搭載したモーションセンサの情報から、空中で手書きをする指先の運動成分を抽出し、その軌跡を使って手書き文字を入力・認識する技術を開発。現場作業で良く行われる数字入力に関しては、入力のための訓練をすることなく約95%の認識率を達成した。
空中で文字を書く場合、文字を構成する線と書き出しまでの移動とを区別する必要がある。これをボタンで操作するのは煩雑なため、一筆書きで文字を入力する方式を採用。一般に一筆書きでは、ペンやタッチの手書き入力よりも認識率が低下する。また、手書きの軌跡を認識せずにメモとしてそのまま残す場合、文字の各部位がつながるため読みにくくなる問題が生じる。富士通研は、一筆書きの軌跡から文字として不要な連結部分を自動的に認識して、軌跡データを補正する技術を開発した。この補正により、文字の視認性やテキスト変換の認識率を向上させることが可能になった。
2.小型、軽量化
 富士通研究所では以前、物に触れるという自然な行動から作業手順の表示や結果の入力などを行えるグローブ型ウェアラブルデバイスを試作開発したが、このコンセプトを継承しながら、指先に装着して様々な機器の入力操作が可能なデバイスで10g以下の軽量化を実現した。指先でのタッチを検出するNFCタグリーダを搭載し、モーションセンサ(加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ)もそのまま継承している。各構成部品を最適に配置し、さらなる省電力化によりボタン型バッテリーを採用することで、小型化を実現。ユーザーからの手書き文字入力の開始の指示などは、親指でボタンを押すことで簡単に操作できるように構成しており、誤操作することなく片手で簡単に操作できる。

 開発した指輪型ウェアラブルデバイスを用いて、手書きを使った数字の入力やメモの作成が可能になる。さらに、NFCタグリーダによって、モノに貼ったタグをタッチすると、作業対象物を特定し作業内容や指示書など提示すべき情報を絞り込める。これらの技術により、作業中に道具などを持ったままでも、作業を止めることなく最小限の動作で情報を操作することができる。
 富士通研究所は、実際の現場で開発したデバイスを使った操作性などの検証を行い、2015年度中の実用化を目指している。